小池百合子・東京都知事はきのう31日(2016年8月)の記者会見で、11月7日に予定していた東京卸売市場の豊洲新市場オープンを延期すると発表した。延期の理由は、(1)土壌汚染の安全性を確認(2)建設費の高騰の検証(3)これまでの経緯を明らかにするの3つだ。
汚染調査の結果が出るのは来年1月で、それ以前に移転というのは問題という見解は説得力がある。しかし、「建設費がかかり過ぎた」「計画経緯の点検」は開場延期とは直接関係ない。市場業者の代表は「私たちは(移転のために)借金してる。先の見通しが立たない」と納得していない。
異常に高い「建設費の坪単価」
知事は「都民ファースト」だとして、検証委員会の立ち上げにも言及した。移転シナリオを描いてきた都議会との対決になる。小池氏の参謀格の若狭勝・衆院議員は「選挙でも都民の利益優先と言っていました。それに沿った決定です」という。
築地の仲卸三代目の生田興克さんは「俺もかなり長く都民やってるよ。小池さんより長い。長い努力の末にやっと移転にこぎつけた。それを延期とは思いっきり残念だし、百歩譲っても、わかるのは安全だけ。あとは移転とは別の話」とむくれている。
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「知事は担当者に絶対安全かと聞いてると思いますよ。もし納得していれば、きのうの会見にはならなかったと思うんですがねえ」
建設費は当初の見積もりの3倍の2752億円になった。坪単価で約220万円。これは異常に高い。高級ホテル並みだ。若狭議員は「こういう不透明が、安全にもリンクしているのではないかという懸念があるんです」と話す。
玉川「取材していても、腑に落ちないところがいろいろあります」
高木美保(タレント)「選挙で利権に切り込みますと言っていたから、関係あるのかな」
9月28日から都議会
知事は「市場問題プロジェクトチームを立ち上げる」としており、元環境省の小島敏郎氏をリーダーに、土壌、建築、公営企業経営の専門家などで組織される。検討結果は公表されるが、若狭議員も「これが一丁目一番地になる」という。
業者にしてみれば、延期による負担増を東京都が補償が出るのかどうかも関心事だろう。若狭議員は「これには誠実に対応していくと思う」というのだが、そう簡単にはいくまい。今月28日から始まる都議会が面白くなりそうだ。