東京卸売市場の豊洲移転が延期となった。小池都知事は「1度決めたから、もう作ってしまったのだから何も考えなえなくて良いという考え方はとりません」と言い切り、延期を決めた理由を3つ挙げた。
1つは豊洲の安全性への懸念だ。「少なくても2年間のモニタリング調査結果を見届けてからという安全性確認は譲ることはできない」と強調する。移転先の豊洲は東京ガスの工場跡地で、土壌から基準値の4万3000倍という発がん性物質ベンゼンが検出された。都は858億円を投じて盛り土を行い、2014年から2年かけて9回の地下水のモニタリング調査を行うことにしている。
これまでの7回の調査では環境基準を上回る数値は検出されず、8回目の調査結果は来月公開されることになっている。最後の調査は11月18日にスタートさせ、来年1月に結果を公表する予定だ。その最終調査の前に移転の日程を決めてしまったことに小池知事は強い疑問を呈した。
消費者は土壌汚染の不安、業者は使いにくさに不満
2つ目は不透明な費用の増大。2011年の見積もりでは総額で3926億円だったのが、4年間で5884億円に膨らんだ。とくに目立つのが建設費で990億円から2752億円と3倍近くに増大した。すでにほとんどが完成しており、今さら削るわけにもいかないのだろうが、都知事は「ちゃんと都民に内訳を説明する必要がある」と提起している。
3つ目は情報公開の不足。都知事は「こんなにお金をかけながら、そこで仕事をする業者さんから不満が多く出されているのはいったい何なんでしょう」と訴えている。
この3つの疑問を解消するために、建築や土壌の専門家で構成する「市場問題プロジェクトチーム」を設置して調査するという。豊洲への移転時期については、来年1月の最後の水質調査結果を見て決めるとしている。