オトコの可愛さの賞味期限は難しい。未知の生物との遭遇や芸人顔負けの罰ゲームを、本気で嫌がって駄々をこねる姿が可愛いのはせいぜい25歳まで。ここに、「可愛い」で飯を食う成年男子、すなわちアイドルの葛藤がある。
この番組は「NEWS」の4人が体当たりで視聴者の疑問を検証する。デビューが早かったためか、一人抜け、二人抜け、迷走している間にとうが立ったかわい子ちゃんアイドルの、なんちゃって体張り系バラエティかと思っていた私が悪かった。NEWS、いいじゃん!
一目で食材見抜き躊躇なく口へ
一気に心を掴まれたのは最初の5分間だった。豚骨よりうまいラーメンは何骨かというゲテモノ食い企画だった。ゲテモノ食いのプロという触れ込みの加藤シゲアキは、逡巡やまずそうと尻込みする無駄な演出は一切しない。「熊か」「ワニか」「カラスか」と一目見るや食材を見抜き、躊躇なく口に運ぶ。あまりのタメのなさには、他メンバーもカメラさえもついていけない。
そして淡々と繰り広げられる食レポが的確すぎる。美味いを連呼するような嘘くさいことはしない。表情を歪めることもなく、「豚骨よりあっさり」「食えなくないが血の味がする」「(熊肉チャーシューも」普通にうまいよ)などさらりとコメントする。圧倒的な納得感と小気味良さが押し寄せる。「食えねぇ、俺ムリ」みたいな押し問答って空々しいものなあ。
カラスラーメンに涙浮かべる増田貴久かわいい
そんな視聴者の声に応えるように、続く手越祐也、小山慶一郎もバクバクとゲテモノを口にしていく。どうも小山はゲテモノが得意じゃない様子だが、それでも5秒とためらわない。NEWSも大人になったもんだ。
そんな感慨に浸っていると、ここで残る増田貴久がだだをこね始める。カラスのラーメンは無理と生気を失った目でいい、こんなことするために生まれたんじゃないと大仰なカミングアウトだ。なだめすかされること10分。最終的にカラス肉を噛み切ると、?には一筋の涙がつたう。あれ、ちょっと待って、なにその可愛さ。
さっきまでゲテモノに動じない他メンバーの大人っぷりに小気味良さを感じていた以上の熱量で、「へたれ可愛い」のビックウェーブ到来である。他メンバーの食べっぷりと対比するから、増田のだだっ子っぷり、「よく頑張りました」感が加速する。こ、これはプロの犯行だ。若手グループも増え、「ただ立っているだけで可愛い」時期はすぎてしまった彼らだからこそ出せる、住み分け、見せ分けに、オトコの可愛いの進化系を見た。生存戦略って大事だよねえ。(8月11日0時59分)
ばんぶぅ