女子レスリング53キロ級の吉田沙保里が決勝で敗れ、五輪4連覇はならなかった。「ごめんなさい」と泣きじゃくった。国際試合での負けは15年ぶりだ。
決勝の相手はアメリカのヘレンルイーズ・マルーリス選手だった。世界中が吉田を研究し尽くしている。さすがの吉田も攻めあぐねるうちに、細かくポイントを稼がれ、ポイント1-4で劣勢のまま最後のタックルに入ったところでタイムアップとなった。
「悔しい。最後の最後に落とし穴にはまった」
マルーリスの笑顔がはじける足元で、吉田はしばくうずくまったまま動かなかった。スタンドでは女子レスリング金メダルの登坂絵莉が涙を流していた。4連覇を達成した伊調馨も土性沙羅も固まっていた。
吉田は「たくさんの人に応援していただいたのに、銀メダルで終わってしまって申し訳ないです」「主将として金メダルをとらなきゃいけないのに、ごめんなさい」「悔しい。最後の最後に落とし穴にはまった」と話した。
長嶋一茂(スポーツプロデューサー)「この涙のレベルは本人にしかわからないですよ。われわれではうかがいしれないもの。銀だってすごいことなんだから」
司会の羽鳥慎一「胸を張って、帰ってきてほしいです」
63キロ級の川井梨紗子が「金メダル肩車」
続いて登場した63キロ級の川井梨紗子は鋭いタックルでポイントを積み上げる戦いを最後まで貫いた。決勝で勝った瞬間、飛び込んできた栄和人・強化本部長を2度マットに投げ飛ばして抱き合い、さらに肩車でマットを一周した。かつて吉田がやったパフォーマンスだ。
羽鳥「吉田選手と伊調馨選手のいいところを併せ持った人だと、栄さんが言っていますね」
長嶋「最強ですよ。欧米人が得意とする種目で日本人が勝つんだから、すごい」
これで日本女子レスリングは6階級のうち、金が4つ、そして涙の銀が1つ。金のうち3つは五輪初出場組だ。みんな吉田を慕って集まり、吉田が先頭に立って日夜研鑽してきた仲間だ。東京五輪でも主役になる。
「タカマツ」最後の最後で逆転勝ち!高橋礼華「あきらめてはいけないと思った」
バドミントンの女子ダブルスで、高橋礼華・松友美佐紀のタカマツが金メダルをとった。決勝の相手は世界ランク6位のデンマークのペア。第1セットは落としたが、第2セットは大差で奪い取った。そして最後のセット、激しいラリーの応酬の末、16-19とリードされ、だれもがここまでかと見守っていると、するするとポイント重ねて逆転勝ちしてしまったのだ。
2人とも仙台の聖ウルスラ学院卒業だが、高橋は奈良、松友は徳島の生まれだ。ともに小学生から活躍ぶりを知られており、高橋は中学から、松友は高校から仙台に移った。ペアを組んだのは、当時の監督は「余っていた」からというが、2008年インターハイ優勝してダブルス『専業』となり、14年には世界ランク1位になった。
羽鳥「高橋選手は前日のレスリング伊調選手の逆転を見て、諦めてはいけないと思ったといってます」
吉永みち子(作家)「逆転勝利が多いですね。かつて日本人はそういうのに弱いと言われたのに、どんなトレーニングしたのかと思います」
長嶋「練習量ですよ。それが多分、世界で一番だったと僕は思う」