1947年、共産主義者の追放を名目にした「赤狩り」がハリウッドにも吹き荒れていた。HUAC(非米活動委員会)の公聴会に召喚され、証言を拒否して「議会侮辱罪」に問われた10人は「ハリウッド・テン」と呼ばれ、「ブラック・リスト」に載せられた。その代表的人物が売れっ子脚本家だったドナルド・トランボ(ブライアン・クランストン)だ。トランボはハリウッドから干されてしまう。
圧力跳ね返して「スパルタカス」依頼したカーク・ダグラス
トランボは生活のため偽名を使って数々の脚本を手掛ける。その中の1作「ローマの休日」はアカデミー賞最優秀原案賞を受賞するが、授賞式にトランボの姿はなかった。当時、トランボが関わった作品はほとんどがアクション、西部劇、SF、ギャングものなどのB級映画で、「黒い牡牛」は「偽名トランボ」に2度目のオスカーをもたらす。
B級映画を量産する製作者フランク・キング(ジョン・グッドマン)は、HUACの代表からトランボの脚本を使わないように勧告される。しかし彼は、「俺は金と女のために映画を作ってるんだ! なんか文句あるか」と野球バットを振り回して追い払う。このシーンは痛快!
カーク・ダグラス(「スパルタカス」主演)、オットー・プレミンジャー(「栄光への脱出」製作・監督)らはパージをものともせず、トランボに脚本を依頼に来る。カーク・ダグラスはトランボを外すように圧力をかけられると、「だったら私が降りる」と宣言する。