天皇陛下「お気持ち」に込めた並々ならぬ決意「日本国憲法を護る」「元首にはならない」

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   8月8日(2016年)午後3時から、天皇陛下がビデオで「お気持ち」を10分間述べられた。要点は2つあると思う。ひとつは象徴天皇として即位以来28年間、国民の安寧と幸せを祈ることを大切にし、事にあたっては、人々の傍らに立ちその声に耳を傾け、思いに寄り添ってきた。

   ふたつ目は、高齢になり、これまでのように「全身全霊をもって務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」と、率直にこれからへの不安な気持ちを話している。その上で、天皇が重病などでその機能を果たせなくなった時、皇室典範にある摂政を置くことは、「天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続ける」ことだからとこれを排し、皇太子に位を譲りたいという想いを強くにじませた。

   こうした「お気持ち」を発せられることが「政治的発言」ととられることを懸念して、「憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません」と断りを入れているが、国民に対しては「理解を得られるよう、切に願っています」と強い表現で呼び掛けている。

   安倍首相をはじめウルトラ保守派たちは、これほど強い内容になるとは予想していなかったのであろう(もちろんビデオ撮影前には宮内庁と官邸ですり合わせをしていたのだが)。会見での安倍首相の声はうわずっていたように聞こえた。

   私見を述べれば、今回の「お気持ち」を『平成の玉音放送』などという向きがあるが、私は天皇による「平成クーデター」だと思っている。クーデターなどというと不謹慎だという誹りを受けるかもしれないが、言葉を変えれば『革命』である。

   天皇の「お言葉」のなかに何度も「象徴」という言葉が出てくる。思い出してほしい。天皇は即位の時こう宣言していることを。「常に国民の幸福を願いつつ、日本国憲法を遵守し、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たす」

   安倍自民党は憲法改正を目論んでいるが、その草案の第一条は「天皇は、日本国の元首」である。今回、天皇ははっきりと象徴としての立場を明確にし、この機会に一気に憲法改正をしてしまえという安倍を含めた超保守派に明確な「NO」を突きつけたのだ。さらに、摂政を置くことも明確に否定することによって、一代限りの小手先のやり方ではなく、皇室典範の大幅な改正、そこには女系天皇を盛り込むことも入っていると、私は思っている。

   生前退位を可能にするためには、皇室典範の改正だけではなく、多くの煩瑣なやるべき事柄があるが、政府も有識者たちとやらも、国民の総意は「天皇のお気持ちを尊重する」ということだということを肝に銘じ、早急に検討に入るべきである。

吉永小百合は静かな覚悟「私はここからが大事だと思うのです。みんなの思いで平和をつなげていきたいです」

   女性自身で私の大好きな吉永小百合が姜尚中氏と対談している。その中で小百合はこんなことを語っている。

   <吉永 2年くらい前に、天皇陛下が「(被災者の方々に)寄り添っていきましょう」とおっしゃっていましたが、これからますます寄り添うことが大事になりますね。

   最近、つらい立場にいる人に対して、思いやりを持つ人が、少なくなってると感じます。 吉永 人と人が手を携えて、思っていることを口に出していくことですね。

   今年は戦後71年ですが、私はここからが大事だと思うのです。先の戦争を反省し、二度と戦争をしないという憲法9条を大切にして、戦後が80年、100年と続くように、みんなの思いで平和をつなげていきたいです>

   小百合はもう71になったんだね。そう、これからが一年一年大事なんだ。元気でいれば小百合にいつかは会える。そう信じて生きていこう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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