天皇陛下の国民向けメッセージがきのう8日(2016年8月)午後3時から、テレビやネットなどでながされた。象徴天皇の在り方を国民に問うもので、直接の言及はないものの、「生前退位」の意向を色濃くにじませたものだった。天皇が国民に直接呼びかけるのは東日本大震災のとき以来だ。
象徴天皇の務めが途切れることなく安定的に続くことが大切
「私も80を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき思いを致すようになりました」「社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか」「天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、個人としてこれまでに考えてきたことを話したいと思います」と語り出した。
在位が間もなく28年になること。この間、国民の喜び、悲しみのときを人々と過ごしてきたこと。天皇の務めは、国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考え、人々の傍らに立ち、声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切と考えてきたと述べた。
「天皇が象徴であるとともに、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めるとともに、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民とともにある自覚を自らの内に育てる必要を感じてきました」
全国をめぐる中で、共同体を地道に支える市井の人々を知りえたことは「幸せなことでした」と述べ、象徴天皇の務めが途切れることなく安定的に続くことを念じ、「私の気持ちをお話しいたしました。国民の理解を得られることを切に願っています」と結んだ。
「お元気なうちにお譲りなるのがいい」「国民を巻き込んで議論」
放送は街のパブリックビュー・ボードでも流され、人たちの声はさまざまだ。「精神的にも肉体的にも大変なお仕事だと思います。陛下のお気持ちを尊重すべきではないか」(40代女性)、「公務が中途半端になったりすると、心苦しいんじゃないですかね」(60代男性)、「これから先は、皇后さまと一緒にゆっくり過ごしてほしいなと思う」(30代女性)と賛意を示す声が多いが、なかには「このまま続けていただきたい」(60代男性)、「最後まで象徴としていてほしい」(20代女性)という声もあった。
メッセージを出したことを、「真剣に考える必要がある。お元気なうちに、象徴天皇の役割をお譲りなされるのがいいのでは」(40代男性)、「勇気ある発言だ。こういう発言が出た以上、国民を巻き込む形で論議したらいい」(40代男性)と評価が高い。
司会の羽鳥慎一「陛下のお気持ちが非常に強く出たメッセージではないでしょうかね」
青木理(ジャーナリスト)「基本的人権、居住だの職業選択も自由でなく、やめることすらできない。その天皇陛下が、このままでは思い通りにできなくなってしまっている、なんとかしてくれとおっしゃっていることは受け止めて、『生前退位』の希望を叶える方向で議論すべきじゃないかと思いますね」
菅野朋子「即位が55歳で、ちょうど皇太子殿下が56歳。ちょうどそのあたりでお考えなのかな」
羽鳥「慎重な議論をしていく必要があります」