「ブラック部活」虐待される生徒たち!運動部だけじゃない・・・楽器吹きながら吐いた吹奏楽部女子部員

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「ふざけんなよ!」「やんなくていいよ、帰れ!」

   生徒たちに部活の顧問の罵声が浴びせかけられる。公立中学校に通う息子を持つ母親は、野球部に所属する息子が「顧問の先生が怖い」と訴えるので練習を見に行った。すると、長時間、土下座させられている息子がいた。「びっくりでした。みんなの前でこんなことをさせられて恥ずかしいだろうし・・・」

   顧問の指導法に疑問を持った母親は、この日以降、部活を毎日のように見学した。そこで目撃したのは「土下座」「平手打ち」「長時間の走り込み」だった見かねた母親が学校に訴えたところ、間もなく「体罰」はなくなったが、代わりに始まったのが耳を疑うような暴言だった。「バカじゃねえの」「お前の顔見てると本当に腹が立つよ」「お前のせいで点数取られる」などと容赦ない。そのせいで不登校になった同級生もいたという。

終日練習、朝練、自主練、コンクールで休みゼロ

   部活動問題に詳しい国士舘大・入澤充教授は「体罰は減少してますが、かえって陰湿化していると思います」と言う。

   こうした傾向は運動部だけに限らない。吹奏楽部に所属する中学生はこう証言している。この生徒の7月(2016年)のスケジュールを見ると、朝8時から夕方5時までの練習が14日、朝練と放課後練習が12日、自主練習が3日、コンクールが2日で実質的な休みはゼロだった。

「ある女の子が楽器を吹きながら吐いたんです。私も疲れてるから早く寝たいんですが、勉強もしないといけないからなかなか寝られないんです」

   こんな指導方法で本当に成果は上がるのか。元プロ陸上選手の為末大さんは「休みゼロというのは実はそんなに効果がない」と否定する。

顧問教師にとっては『ブラック学校』部活の成果が人事評価に直結

   ブラック部活はどうしてこんなに増えているのか。顧問の教師の側にも悲しい現実があった。名古屋大学大学院・内田良准教授はこう言う。「先生自身が部活の成果が人事評価の軸にされてしまっています。『県大会に出た』とか『県大会で勝った』というのはとても分かりやすいわけです。すると先生たちもそこから逃れられずについ頑張ってしまう。そこにブレーキを掛ける必要があるんだと思います」

   そんなに辛いんだったら部活を止めればいいじゃないかという声も聞こえてくる。しかし、生徒たちから「内申書が心配だから止められない」という答えが返ってきた。中学から高校への進学、高校から有名大学への推薦入学に「支障を来すのではないか」と心配しているのだ。「これを保護者はみなさんは『子どもを人質に取られている』と勘違いしているんです。内申書っていうのは『部活を止めた』というマイナスなことを書くものではないんです。むしろ『こう頑張った』ということを書くものなので、部活を止めたところで、内申に影響はないんです。もう少しそこは認識を広げるべきかなと思います」(内田准教授)

   久保田祐佳キャスター「部活を止めてしまっても、ほかの頑張ったところを書いてもらえるんですか」

   内田准教授「そうんなんです。地域の行事に参加したとか、ボランティアをしているとかを書いてもらえるんです。だから部活動に縛られる必要はないんです」

   楽しくない部活なんて、やっぱりやめてしまった方がいいんだ。

ビレッジマン

NHKクローズアップ現代+(2016年8月1日放送「『死ね!バカ!』これが指導?~広がる『ブラック部活』~」)

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