日本テレビ系の人気番組「行列の出来る法律相談所」(日曜よる9時)などのテレビ出演で知られる大渕愛子弁護士(38)が、東京弁護士会から業務停止1か月の懲戒処分を受けた。「(私の)認識不足がすべて」と謝罪したのが、処分内容に不満があるのか、異議申し立ての可能性を示唆している。
相談者の返還要求拒否!弁護士会が説得
2010年に養育費の支払いを巡って元夫と交渉していた女性から依頼を受け、弁護費用として着手料17万8500円、顧問料月額2万1000円で合意した。その後、女性から法テラス(日本司法支援センター)を利用する希望があり、大渕弁護士が申請の手続きをした。
法テラスは経済的に余裕のない人のために弁護士の紹介や無料の法律相談、弁護士費用を一時的に立て替え払える制度で、この支援制度を利用して相談女性は大渕弁護士に着手料、顧問料を合わせた10万5000円を支払った。
ところが、法テラスは弁護士が決められた以上の費用を受け取ることを禁止しているのに、大渕弁護士は当初合意した費用との差額分の着手料7万3500円と5か月分の顧問料10万5000円を要求し受け取っていた。差額分は法テラスが支払うことになっており、大渕弁護士は二重取りになる。女性は返還を要求したが大渕弁護士は拒否し、東京弁護士会の制度説明によって大渕弁護士が女性に返還したのは5か月後だった。
同僚弁護士の橋下徹「異議申し立てすべきだ」
自ら申請手続きを行ったのに肝心の制度の中身を知らないとは不可解で、番組コメンテーターの菊池幸男弁護士は「制度の内容については法テラスから文書などで説明され、当然知っているはず」という。
大渕弁護士は「独立して1年目で手探りでやっていました。それまで国内の事件はやったことがなく、中国関係の仕事をずっとしてきて国内事情を知りませんでした」と釈明している。東京弁護士会は禁止と分かっていた故意の行為と判断したのか、「弁護士の品位を失う非行にあたる」として、戒告より一段重い業務1か月停止とした。
大渕弁護士は納得していないようで、所属するタイタン事務所の顧問弁護士をしている橋下徹弁護士(前大阪市長)に相談し、「橋本先生からは異議申し立てをすべきだと強く言われておりまして、橋下先生と相談しながら決めたい」と話している。ただ、当面は「行列のできる法律相談所」(日本テレ系)、「白熱ライブ ビビット」(TBS系)などテレビ出演を見合わせるとしている。