国際オリンピック委員会(IOC)はきのう24日(2016年7月)に開いた電話による緊急理事会で、ロシアの全選手をリオ五輪・パラリンピック出場禁止にはせず、最終判断を各競技の国際競技連盟(IF)に委ねると決めた。責任放棄とも言える決定に、IF、WADAの反発は必至だ。
「ドーピング歴なし」「国外検査クリア」が条件
IOCのバッハ会長は「国全体の責任か個人の正義かの判断でパランスを重視した」結果だと話した。選手は「過去にドーピングの違反歴がない」「信頼できる国外での検査を受ける」などの厳しい条件をクリアした上で出場できるという。
ロシアのムトコ・スポーツ相はこれに「満足の意」を表明。棒高跳びのエレーナ・イシンバエワ選手もタス通信に「全部不許可にしたら、大きな問題になるとIOCは理解した。IOCは世界的スキャンダルにしたくなかった」とコメントした。
スポーツ評論家の玉木正之氏は「IOCは腰が引けた。弱気だ。各IFに判断力はあるのか。ロシアの理事が多い団体もありますから。世界アンチ・ドーピング機関(WADA)不満を持つでしょうね」という。
たしかにIFには判断材料はない。そのためにWADAがある。ロシアの反ドーピング機関も不正にかかわっていたわけだから、過去に違反歴がないと言ってもそのデータ自体が信用できないことになる。
IFでも強硬なところもあれば、波風を立てたくないところもある。とくにロシアが強い競技では理事の発言力も強い。体操や柔は全面禁止に反対している。ドーピングそのものがうやむやになる可能性もある。
開会まで10日・・・時間切れでウヤムヤ?
龍崎孝(流通経済大教授)「不可解なのは、WADAもスポーツ仲裁裁判所もIOCが作った機関なのに、足並みがそろわないことですよ。時間切れを狙った状況とも取れますよね」
司会の夏目三久「このままオリンピックになだれ込む状況を作るということでしょうか」
龍崎「五輪はIOCだけが開くわけではない。4年後には東京も関わる。どんな五輪にするかを考えないといけない」