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週刊文春にケンカ売られた週刊現代!「医療記事ねつ造」批判にどうこたえるか

   週刊現代が「国民的大反響」と今週で7弾になる手術や薬の危険性に警鐘を鳴らす特集に、週刊文春が「現代の医療記事はねつ造だ」とケンカを売った。ねつ造とまでいわれては週刊現代側も次の号あたりで反論するだろうが、週刊文春のいい分はこうである。

   <「週刊現代」がこうした大特集を続け、大きな反響があるのも、世の中に根強い医療不信があるからだろう。ただ、ずさんな取材に基づく記事では何も解決しない。

   実際に、読者や患者が最も知りたいことは、薬の副作用ばかりではなく、本当の正しい薬の「飲み方」と「やめ方」ではないか>

   統合失調症に詳しいたかぎクリニック院長・高木俊介医師もこう話す。<「抗精神病薬に突然死などのリスクがあるのは事実です。しかし急に薬をやめると激しく再発することがあり、より悪化するケースもあります。(中略)

   副作用のリスクに警鐘を鳴らすのはよいのですが、薬をやめるリスクや、やめ方についても丁寧に書かないと、患者さんの人生を台無しにする恐れがあるのです」>

   取材された医師がこんなこと話してはいないと怒っているケースもあるようだ。ここでも何度かいっているが、危険だ危険だといいっ放しでは、いたずらに患者を惑わせるだけになってしまわないか。たとえば、今週の特集の中に「医師20人に聞きました『内視鏡・腹腔鏡手術』は本当に安全ですか」というのがある。

   「なるべくやめたほうがいい」「やってはいけない」などの意見があるが、大学病院、民間病院、開業医とあるだけで、病院名はもちろん医者の名前もない。これでは読者を困惑せるだけにならないか。

   編集部の意図に合うようにコメントを操作しているとは思わないが、<「医療記事は、生命に関わるテーマで、データが正確か、科学的論拠に拠った適正な内容かといった点が非常に重要。医師をはじめとする専門家のチェックを経た上で記事を掲載すべき」(上智大学の田島泰彦教授)>という考え方も参考にすべきだろう。

   もちろん医者によってそれぞれ考え方が違うこともある。どうしたら記事のクレディビリティを担保できるのか、週刊現代編集部は熟考すべきではないか。そうでないと、せっかく探し当てた宝の山が、同誌の信用を落とす結果になるやもしれない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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