都知事選『泡沫候補』上杉隆の見過すには惜しい政策!五輪むだ使いストップや横田基地軍民共用

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   まず都知事選の話から。きょう14日(2016年7月)の告示で19人が立候補した。先出しジャンケンの小池百合子氏、自公などが推薦する増田寛也氏、民進、共産、社民、生活の党と山本太郎となかまたちの4党が推薦する鳥越俊太郎氏の争いと見られているようだ。

   ジャーナリストの上杉隆氏は今週発売の週刊ポストで華々しく出馬宣言したが、私が見ている限り「泡沫候補」扱いのようである。可哀相に。だが、他の有力候補が明確な政策を掲げられていないのに、上杉氏は五輪組織委員会の白紙改編と森喜朗会長の「名誉ある勇退」。本来、東京都に入るはずの税金が年間約3200億円も地方に奪われているが、その税金を取り戻し待機児童問題解消など都民のために使う。東京五輪のむだ遣いをやめて当初案の4500億円(現在は2兆円)に戻す。横田基地の軍民共用化をと具体的である。

   彼の基本的な考え方は、「石原都政の2期目に戻る」ということのようであるが、その是非も含めて、論議を深めてもらいたい。

   今週の週刊誌は参議院選の結果を入れ込みたいという「思惑」でそれぞれが発売日を工夫してきた。週刊ポストはいつも通り月曜日発売だが、参院選は改憲勢力で3分の2をとると予想して、参院選後に安倍首相が憲法改正に踏み出すのかに焦点を当てて特集を組んでいる。見事的中したわけだが、週刊新潮は水曜日発売で、今回の参院選を「我ら凡俗の審判」と総括している。冒頭、安倍首相は「経済の再生を旗印にしていたのに、株価は低迷、為替は円高、アベノミクスもどこへやら、とても選挙を戦える状況になかった」はずが、蓋を開ければ改憲勢力で3分の2を占める圧勝劇だった。私を含め、多くの有権者たちはこの結果に当惑し、どこの誰がこんな審判を下したのかと天を仰ぐばかりである。

   不可解なのは週刊現代である。水曜日発売にしたのだから参院選について特集を組んでいるだろうと思ったら、コラムでわずかに触れただけであった。今度の参院選の結果は、私など「おきゃあがれ!」とテレビを蹴飛ばそうと思ったぐらいだが、週刊現代はそうした怒りも、これから起こるであろう憲法改悪への流れに対する危惧もないと見える。相変わらず「その手術、この薬が危ない」の第7弾を延々とやっているだけでは、ジャ-ナリズムの看板は外したほうがいい。

   おまけに、都知事選挙で誰が当選するかという予測記事には鳥越氏の名前が入っていない。締め切りに間に合わなかったというのは分かるが、週刊ポストに比べて読みが甘い。または情勢が動いていたので扱うべきではなかったのではないか。さらに、週刊文春(木曜日発売)から「週刊現代の医療記事はねつ造だ!」とまで批判されているのだから、なにをか況んやである。

鳥越俊太郎「76歳とがん」まあ心配ないが、多少気になるあのこと・・・

   私事で恐縮だが、週刊文春の鳥越候補についての記事について書いてみたい。石田純一氏、宇都宮健児氏、古賀茂明氏と野党候補が次々に現れては消えていって、ギリギリで鳥越氏に決まったのは7月12日(火)だった。その日の夕方、週刊文春の記者から電話がかかってきた。「鳥越さんについて聞かせてくれ」というのである。

   鳥越氏がどんな政策を持って出馬するのかも知らないし、だいぶ彼とは会っていないので語ることはないのだが、「鳥越さんの体調はどうなんでしょうね」という世間話のような話なので、がんをやってから10年以上経つから大丈夫ではないか、ただ年齢が76歳なので、選挙戦もそうだが、もし知事に当選したら大変ではないかという当たり障りのないことを答えて電話を切った。

   こんな他愛もない話など載るはずはないと思っていたが載っているではないか。それも、鳥越氏と「交流の深い」とついている。テレ朝の「ザ・スクープ」を打ち切りになるとき、反対集会やテレ朝の早河洋氏に中止撤回の申し入れに行ったことはある。

   彼が編集長として始めた韓国系インターネットメディア「オーマイニュース」に、彼の体調が悪いからと頼まれて編集長(最後は社長)になったこともある。07年の都知事選のとき、石原慎太郎の3選を阻止しようという陣営から、出馬してくれないかという話があったが、身体の問題でカミさんが許さないからやめたという話を聞いたことはある。だが、「オーマイニュース」を離れて以来会うこともなくなった。

   週刊文春が私に連絡してきたというのは、よほど聞く人がいなかったからだろうか。鳥越氏はうらやましいほどのフサフサの髪とルックス、滑舌のいい魅力的な人である。がんや76歳という年齢のことはそれほど心配はしていない。鳥越氏の名前を一躍知らしめたサンデー毎日編集長のときの「宇野宗佑総理三つ指事件」で、宇野氏を告発した元神楽坂芸妓との行き違いが多少気になってはいるのだが、これ以上はやめておこう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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