中国が南シナ海の岩礁の主権を主張して埋め立てなどを強行している問題で、オランダ・ハーグの仲裁裁判所はきのう12日(2016年7月)、フィリピンの主張を全面的に認めた。
中国はフィリピン沿岸からボルネオ島、ベトナム沿岸までの南シナ海のほぼ全域を「九段線」と称して自国領と主張している。その実効支配を狙って西沙諸島の7つの岩礁を大規模に埋め立て、滑走路、ビルなどを建設した。フィリピンは2013年1月に国連海洋法条約に基づき、中国の行為を不法だとして仲裁裁判所に提訴した。
裁定は「九段線は中国が歴史的権利を主張する歴史的根拠がない」「人工島は自然の島ではなく、EEZ(排他的経済水域)の設定はできない」とした。ただ、それぞれの岩礁の帰属については判断していない。
王毅外相「法の衣をまとった茶番劇だ」受け入れ拒否
フィリピンのヤサイ外相は「画期的な判断が、南シナ海の問題の解決に向け重要な役割を果たすと確信している」と述べた。これに対して、中国の中央テレビは「仲裁裁判所は不法で無効な採決を下した」と伝え、王毅外相も「法の衣をまとった茶番劇だ」と受け入れを拒否した。
もともと仲裁そのものを拒否していたのだが、拓殖大の富坂聰教授は海洋法条約を拒否しつづければ国際的非難の高まりは避けられないという。その反発として、東シナ海の尖閣水域への侵入が起こっていると見る。
司会の夏目三久「アメリカではどう伝えられてますか」
パトリック・ハーラン(タレント)「トップニュースです。ウォールストリート・ジャーナルの見出しは『フィリピン大統領にジレンマ』となっています」
民衆は裁定を喜んでいるが、ドゥテルテ大統領の対中国の姿勢は微妙だという。鉄道建設や経済援助で中国の支援を当てにしているからだ。今回の裁定で中国が硬化すると、かえって動きがとれなくなる恐れがあるという。