リオデジャネイロ・オリンピックのサッカー日本代表のメンバーが発表された。1月(2016年)のアジア最終予選で驚異的ななばりで五輪出場権を勝ち取ったが、「これまでのオリンピック代表と比べて、前評判は高くありませんでした(杉浦友紀 キャスター)
中田英寿や本田圭佑といったスター選手がいないうえ、Jリーグでレギュラーを取れない選手も多く、アジアの大会でもベスト8どまりの実力と見られていた。球際に弱く、勝負への執着心がなかったからだ。
試合前は激しい言葉で意識高め、合宿では一人一人に声掛け
そんな「勝てない世代」と呼ばれた選手たちを劇的に変えたのが、Jリーグでの指導力を買われ2年前に就任した手倉森誠監督だった。まずはじめたのは選手の闘争心に火をつけることだった。試合前に「世界に示さなければいけないのは国の魂だ。大和魂ってこと」など、あえて激しい言葉を使って代表への意識を高めているという。
練習や合宿では選手とコミュニケーションを取り、得意のダジャレでなごませる。とくにこだわったのは、合宿中はすべての選手に話しかけることだった。目線は選手と同じ高さにして、一人一人の性格や悩みを把握していった。そして、「ゲームコントロール」「かき回せ」など選手の特徴を生かすための簡潔なアドバイスを送るという。
「選手一人一人をすごくよく理解してると思うし、いい意味で年齢の差を感じない方かなと思います」と遠藤航主将は話す。
選手と距離保ちながらチームとして一体化
サッカー解説者の早野宏史さんはこう見ている。「(サッカーの)監督にはいろんな面がありますが、特徴的に言えば、トルシエ監督やハリルホジッチ監督は『支配者型』で、岡田監督は『現実主義者』。手倉森監督は『教育者型監督』と言っていいとおもいます。選手との距離をうまく保ちながら、選手にアドバイスをして、チームという型にはめていく。チームで戦うんだと言いながら、個人の成長をうまく引き出す。非常に手腕のある監督だと思います」