いきなり武装警官が銃をぶっ放す映像が出た。先月13日(2016年6月)早朝、ブラジルのリオデジャネイロ市内で起きた警察と麻薬組織との銃撃戦だ。殺人は1日に16件、強盗は4分半に1回、治安は最悪の状態だ。
4日(2016年7月)にリオ国際空港で繰り広げられたデモは異様だった。空港に到着した観光客に向かって、「正義」「正義」と叫んでいたのは警察官と消防士。横断幕には「給料が払われない」「今年だけで60人もの警察官が死んだ」「あなたの滞在の安全を保証できない」「リオは安全じゃない」と書かれている。給料の支払いが滞って、ついに職場を放棄したというのだ。デモに参加した消防士は「オリンピックに来る人の安全は保証できない。危険だ。オリンピックを開催できる状態ではない」と話す。
テレビのインタビュー中にも、マイクに向かって話していた女性のネックレスを引きちぎって走り去る少年、パスの窓から手を伸ばして携帯電話を奪い取る、観光客に飛びかかって財布を強奪する。これが映像に撮られているのだから凄まじい。
人込みでスマホ使っているとたちまち強奪
自転車で世界一周をして、その様子をブログ配信している高橋宣團(せんまる)さんは2月に、リオ市内のサッカースタジアム近くでスマホで動画を生配信中に複数の男たちに襲われ、スマホを奪われた。その瞬間が映像に残っていた。「8人組くらいに囲まれてスマホをたたき落とされました。人の多いところではスマホは出さないほうがいいです」とせんまるさんはいう。
高速道路も危ない。五輪では空港と競技場を結ぶ幹線だが、スラム街ファベーラが麻薬組織の根城になっているため、カージャック、誘拐、銃の抗争が日常茶飯事。4月には日本のクレー射撃の中山由起枝選手らが銃撃戦に遭遇している。
1~5月の犯罪統計でも、今年は昨年より殺人が1000件単位で13%増、強盗は万単位で27%も増加している。5、6月だけでも、麻薬組織が五輪指定病院を襲撃したり、スペイン人選手、オーストラリアのパラリンピック選手が強盗にあい、プラジル人選手が撃たれたり、ビーチバレー会場で切断遺体が見つかったりしている。
日本オリンピック委員会(JOC)は選手たち向けに「安全管理マニュアル」を作って、外出はしない、スマホは見せないなど細かい注意を与えている。
豚インフルエンザも流行中!死者1000人以上
司会の夏目三久「治安以外にも問題があるんですよね」
パトリック・ハーラン(タレント)は「まずジカ熱がありますが、いま南半球は冬なので蚊の数は減ってはいます。それより、豚インフルエンザが広がっています」という。ブラジル全土で患者6097人、死者1103人、リオ州で患者172人、死者45人だ。日本でも2009年に200人近くが死亡している。そんなに恐れることはないのだが、五輪選手、役員はもちろん、観戦者、旅行者も予防接種は必須だ。なんとも気の重い五輪になりそうである。