家柄、資産、美貌のすべてを備え、周囲の人々の心が読める特殊能力をもって高台家の子供たちは生まれてきた。ただ、斎藤工演じる長男・高台光正は、それが鬱陶しくて人と距離を置きがちだ。そんな彼が見初めたのが、綾瀬はるか演じる空想癖のあるOL木絵だった。
木絵の空想は馬鹿馬鹿しくて、ちょっぴりご都合主義で、そののどかな内面に光正は惹かれていく。順調に見えた2人だったが、光正が特殊能力を持っていることを明かしたことで、木絵は思い悩み、関係はぎくしゃくとすれ違っていく。
シャーロット・ケイト・フォックスどんな役やっても「マッサン」
物語は誰もが予想する大団円だけれど、注目すべきは前半の綾瀬はるかのコメディエンヌっぷりである。斎藤工はおとぼけ満載の空想まみれの綾瀬の脳内を覗いてはくすりと笑う。こんなにサービス満点の可愛い空想なら、たしかに「ずっと覗いていたい」というのも納得だ。ただ、光正が能力を明かしてからの、うじうじ思い悩む木絵パートをあんなに長くしないで、もっと「ただただ可愛い綾瀬はるか」を堪能したかった。
特殊能力という制約を乗り越えるラブコメという大筋がシンプルだから、キャストそれぞれの演技に目が向く。光正と同じ特殊能力をもつイギリス人の祖母・アンをシャーロット・ケイト・フォックスが演じている。彼女にはちょっとかわいそうだが、何をやっても朝ドラに見えてしまう。そもそも、彼女に振られる役はいつも「外国人役」で、およそ「外国人」らしい葛藤や喜びをマッサンでやり尽くしているのだから、そう見えるのも無理はないか。
水原希子キャラ変え!綺麗なだけじゃない「臆病な普通の女の子」
水原希子には大きくイメージを揺さぶられた。その外見から「普通の女の子」の役はあまり回って来ず、造形の美しさを強く印象づける役柄が多いのだけれど、この映画ではではちょっと臆病な女の子という「内面は普通の女の子」の部分がくっきり出ていてなんともキュートだ。
ワンレンボブもいいけれど、前髪があるとちょっと親しみやすくなるのね。スタイルの良い綾瀬はるかをがっちりもっさり見せるという意味でも、痩身の水原のキャスティングは正解だろう。
キャストそれぞれのファンなら見に行って損なし。小洒落たラブコメ好きには、ラブ部分もコメディ部分もちょっぴりこっぱずかしいかも。余談だけれど、しっかり背も肩幅もあり、足も長い綾瀬はるかの事務OL服の違和感はすごかった。ああいう制服って、ちんまり日本人体型でこそ着こなせるのよね。
ばんぶぅ
おススメ度☆☆☆