天台宗のトップで生き仏と呼ばれた善光寺(長野市)の小松玄澄貫主(82)が、前代未聞のセクハラ・パワハラ疑惑で宗派の住職や信徒総代から辞職勧告が出された。ご本尊をお迎えして7年に1度の御開帳(2015年4月5日~5月31日)があったばかりでいったい何が起きているのか。
「夜はひとりじゃ寂しいじゃろう」・・・断ると左遷や誹謗中傷
セクハラ疑惑があったのは御開帳が終了した昨年6月。小松貫主が60代の女性職員に「夜はひとりじゃ寂しいじゃろう。食事に行こう。でも、近くじゃまずいな。変装して行こう」と口説き、女性職員が断ると2か月後に配置換えされたという。それだけでは終わらず、「あの女はやくざの女で刺青があった」と誹謗中傷を市民に言いふらしたという。被害を受けた女性職員は「雲の上の人に不当な人事をされ、思い出しても辛い」と怒る。
善光寺は天台宗大勧進と浄土宗大本願の2宗派が管理し、2人のトップがおり、小松貫主は天台宗のトップだ。1日3時間の睡眠で経を読みながら山を歩く修行を積む「百日苦行」を成し遂げ、信徒から生き仏と崇められていた。小松貫主が書いた「書」は1枚3000円で販売しているという。
女性トラブル絶えない生き仏。10年前には侵害賠償
小松貫主には以前から女性トラブルが絶えず、04年には辞任騒ぎに発展し、民事訴訟で330万円の損害賠償を命じられたこともある。辞任を求めている玄証院の福島貴和住職によると、「声を掛けられた女性職員はいっぱいいる。10年以上にわたって、しでかしたことを直してくれと再三訴えてきた」と話す。思い余って、善光寺の25の寺院住職で構成する「一山」の住職たちと信徒総代たちが、「無期限の謹慎並びに善光寺本堂への出仕の停止を決議」し辞職を勧告した。
辞職勧告には強制力はなく、小松貫主も疑惑を否定している。罷免権のある天台宗務庁まで問題が上げられたが、天台宗務庁は「報告書を受け取った段階で、今後の対応は未定」と話している。
司会の小倉智昭「かなりの実力者でないとここまで登って行けないわけですが」
安田洋祐(経済学者)「10年前からいろいろあったにもかかわらず、行動が改まらないということですね。組織のガバナンスがどうなっているのか非常に気になります」
小松貫主の年収は2200万円ほどという。