EU(欧州連合)からの離脱の是非を問うイギリスの国民投票が、日本時間のきょう23日(2016年6月)午後から始まる。離脱・残留は世論調査でも拮抗しており、先週には残留派の国会議員が殺害される事件まで起きた。
国民投票はEUのさまざまな縛りが生活を圧迫しているという離脱要求が強まり、キャメロン首相が残留を狙って打った賭けだったが、目算が狂ったというのが実のところだ。生活重視派に離脱、貿易や国際関係重視派に残留が多い。都市部が残留、農村部が離脱という読みもある。
世論調査でも40%台で際どく入れ替わっており、態度を決めていない人たちの動向が読めないため、国民投票の結果も予断を許さない。閣僚もメディアも意見が分かれ、文字通り真っ二つの状態だ。
ベッカム「世界とつながっているべきだ」。ミック・ジャガー「離脱は有益」
さまざまな人たちが賛否を表明している。サッカーのデビッド・ベッカムは「われわれは強く結びついた世界で生きている。子供や孫の世代のため、ともに世界の問題に立ち向かうべきだ。われわれは孤独ではない」と残留を主張。妻のビクトリアさんも「夫を誇りに思う」と話す。映画「ハリー・ポッター」シリーズに出演した女優のエマ・ワトソン、物理学者のスティーブン・ホーキングも残留を支持している。
離脱派では、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーさんが「短期的に見れば損害だが、長期的に見れば有益だろう」と語り、俳優のマイケル・ケインも離脱を支持している。
テレビ討論会では新旧のロンドン市長が激しくやりあった。アジア系のサディク・カーン市長は「ロンドンで商売する人たちと毎日話すけど、この町は50万人分の雇用をEUに直接依存しているんだ」という。これに対しボリス・ジョンソン前市長は「ロンドンやイギリスを随分とバカにした話だ」と反論した。イギリスが離脱すればスウェーデンなどが追随するかもしれず、影響は欧州だけでなく世界に及ぶ。
残留派多い若者の投票率が結果左右
なんでも賭けにしてしまうイギリスのブックメーカーの賭け率はどうなっているか。残留が1・22倍、離脱が4倍だ。数字が小さいほど賭けている人が多いということで、残留が勝つ確率が4倍近くも高いという読みだ。
パトリック・ハーラン(タレント)によると、43歳を境に高齢者が離脱傾向が強く、若者が残留傾向と分けられるのだそうだ。年寄りは「大英帝国時代の栄光が頭にあり、若者はイギリス人というよりヨーロッパ人、世界人だとアイデンティティーが強く、残留が多いんです。投票率が低い若年層がどれだけ投票するかがポイントになりそうです」
早ければあすの朝には結果が判明する。