<団地>
隠居暮らしの夫婦が引き起こす「団地騒動」藤山直美とUFOが接近遭遇?大人のファンタジー

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(C)2016「団地」製作委員会
(C)2016「団地」製作委員会

   経営していた漢方薬局を閉めたヒナ子と清治の夫婦は、大阪近郊の古い団地に移り住んだ。ヒナ子はスーパーのパートで働き、清二は裏の林で植物図鑑を片手に散歩の毎日だ。友人・知人との交流もなく、時おり訪ねてくるのは漢方薬局時代の常連客で、謎めいた言動が多い真城だけである。そんな隠居夫婦に団地の住人たちは興味津々だ。

   清治は団地の自治会長選挙の候補に担ぎ上げられたが、落選してしまう。「僕は死んだことにしてくれ!」とへそを曲げて床下の収納庫に潜ってしまう。

   それから2か月。清治の姿がまったく見えないため、団地では失踪説が流れ始める。「もしかして奥さんに殺されたんじゃ」と口にする住人も出てきた。ついにマスコミや警察まで押しかける騒動となる。

大阪の笑い巧みに演じる芸達者たち

   とにかくキャスティングがすばらしい。ヒナ子役の藤山直美と清治役の岸部一徳が絶妙の掛け合いで、関西ならではの「おもろい夫婦」を演じているほか、団地の自治会長役に石橋蓮司、その妻に大楠道代、噂好きの団地住人に濱田マリや宅間孝之、竹内都子らがいい味を出してくれる。しゃべくりを聞いて笑っているうちに、いつの間にか話も展開していくといった具合で、103分がまったくだれない。

   キーパーソンは斎藤工が演じる真城で、大阪のおばちゃん、おっちゃんの庶民劇といった雰囲気のなかできわだって異質だ。真城によって、後半からストーリーは急カーブを切ったように大展開し、観客の予想を大きく裏切る結末を迎える。

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