最多安打記録を4257本と塗り替えながら、イチロー選手の会見は例によってクールだった。「ここにゴールを設定したことがないので、実はそんなに大きなことという感じはしていません」と話し出したイチローは、「それでもチームメイトやファンがあのような反応をしてくれると、すごく嬉しかった」と語った。
記録を抜かれたピート・ローズは、日米通算の数字に「マイナーで打ったヒットだってある」と異議を唱えていると言われる。これには「そういう人がいた方が面白い。大統領選挙だって、共和党の方がいらっしゃるから盛り上がっている。人間の心理みたいなもの」と皮肉交じりに話す。
「数字残すために野球やっているわけじゃない。心の中に磨きたい石がある」
「僕は子供の頃から、人に笑われてきたことを達成してきたという自負があります。小学生の頃はプロになる、MLBに来た時は首位打者になると言って笑われ、悔しい思いもしました。これからもそれをクリアしていきたい」
まだある。「日米合わせた記録とはいえ、生きてる間に(抜かれるのを)見られて、ローズが羨ましい。僕も見てみたい」(朝日新聞)
侍ジャパンの小久保監督の話が毎日新聞に載っていた。イチローに「モチベーションが下がったことないの」と聞いたことがあるが、「小久保さんは数字を残すために野球をやっているんですか。僕は心の中に磨き上げたい石がある。それを野球を通じて輝かしたい」と語ったそうだ。小久保氏はこの言葉から、「野球を通じて人間力を磨く」というキーワードを得たという。
3085本の日本記録保持者、張本勲は「おめでとうと言う前に、ありがとうといいたい。日本出身で世界一が2人います。王貞治(868本塁打)とイチローですから。どうだ、アメリカ野球!と言いたいぐらい」