舛添要一・東京都知事の都議会最後の発言も未練たらたらだった。「東京を世界一の都市とするため全力を尽くし、一定の成果をあげた」「反省と心残りの念は尽きないが、自らの不徳の致すところ」「オリンピックのために選挙は避けたいと思ったが、これ以上都政の停滞を長引かせることはできないと、身を引く決意をした」
本議場を去る知事に「湯河原でゆっくり休んでください」とヤジが飛んだ。高額の海外出張費を「週刊文春」が伝えてから100日目だった。在職2年4か月。
自民・公明は騒動幕引きに躍起
知事は14日(2016年6月)の深夜にもうダメだと悟ったらしい。終日続いた自民党による「辞職の説得」に応じず、午後10時にいったん退庁したが15分後に戻った。この時、自民党都議団のドン・内田茂幹事長、川井しげお議長との話し合いが行われた。
参院選への影響を懸念した安倍首相、谷垣自民党幹事長らの意向が働いていたことは確かだ。舛添氏が居座った場合の自民党、公明党へのダメージは計り知れない。水面下で相当なやり取りがあったとみられる。
都議会自民・公明は辞職表明を受けて事態の鎮静化に躍起だ。なお疑惑追及を求める野党の「百条委設置」要求を否決し、20日に予定されていた集中審議もキャンセルした。知事も金曜日の定例会見を取りやめた。
これで幕引きになるのか。藤森祥平アナが自民都議に聞いた。「吹っ切れたんじゃないか」「非常に立派な挨拶だった」「結構心にしみました」「百条委は知事になってからの件を扱うものだから」。総務委員長(公明党)も「辞職という判断を下されましたので、それ以上の集中審議は困難」という。
龍崎孝(流通経済大教授)は「KY辞職」という。世論、議会の空気を読み間違えた。第三者で違法性はないということで乗り越えられると思った。集中審議で「解散」を口にすれば議会を押さえられると思った。「決め手は公明党の不信任案提出とドンの最後通告でしょう」
ウヤムヤ幕引きで怒り収まらない都民
パトリック・ハーラン(タレント)がニューヨークタイムズの電子版を紹介した。ここで「せこい」という言葉が紹介され、「安っぽい」「ささいな」という意味だと解説されている。「舛添氏の温泉旅行は、大金の横領よりも都民の怒りをかった」と伝えていた。
元三重県知事の北川正恭氏は「日程の設定から馴れ合いがありました。裏のシナリオがあるのでしょう。今後は議会に批判の矛先が向くのではないでしょうか」
都庁に16年間務めていた中央大の佐々木信夫教授「不十分なまま終わりにしてしまった。議会への悲観は今後も残りますね」
司会の夏目三久がボードをめくると、知事の給与が1日8万円、ボーナス約381万円、退職金約2196万円とあり、さらに都知事選費用が前回約46億円とあった。こんなに金にあふれていながら、たしかにせこい。都民が怒るのも当然か。