東京都議会はきのう9日(2016年6月)、知事が「けじめ」として申し出た「給与返納」を認めず、来週13日と会期終了後の20日に総務委員会で集中審議を行うことを全会派一致で決めた。総務委員会は代表質問などと違い、質問内容の事前通告がなく、一問一答形式で行われる。答弁の矛盾などを重ねて問うことができ、さらに審議日を設定することも可能だ。猪瀬直樹・前知事を辞任に追い込んだのも総務委員会だった。
与党の自民党と公明両党は知事辞任に結びつく追及には及び腰だったが、辞任を求める都民が7割超という世論調査に、下手に知事を擁護すると7月の参院選や次の選挙に影響すると判断したとみられる。
「別荘売却」「給与返上」見透かされているけじめパフォーマンス
知事の政治資金の私的流用を疑わせる新たな疑惑も明らかになっている。「あさチャン!」が調べただけでも、書道用品の筆や雅号「双光」の印鑑を政治資金で買ったり、梅原龍三郎のリトグラフの領収書が「日仏交流史資料」となっていた。
第三者の調査で「一面では趣味でも、一面では政治活動に役立っており、不適切とは言えない」とされたものでも、集中審議で追及されたら立ち往生しかねない。疑惑が知事時代のものであれば百条委の設置も可能で、代表質問の答弁のように「初心に立ち返って」では済まなくなる。
知事はまた「身を切る」という言葉も繰り返している。公用車使用で問題となった湯河原の別荘の処分、給与の返納で「けじめ」をつけるとしているが、街の声は「ご自分のけじめであって、都民はそうは考えてませんよ」「パフォーマンス」とにべもない。
辞任に追い込まないための巧妙な審議日程
集中審議が2日間に分けられた理由を、龍崎孝(流通経済大教授)は「13日だけだと、15日の会期末までに野党が不信任案を出してくる可能性があるんです。20日を設定しておけば、会期をまたぐことができるというテクニックです」という。与党も不信任案には反対しにくいが、20日にも集中審議があれば、「その前に不信任はおかしい」という言い訳が成り立つのだ。
パトリック・ハーラン(タレント)「議会から聞こえてくるのは、参院選への影響だとか、次の選挙だとか政局の話ばかり。都民の感覚とはずれていますよ」
司会の夏目三久「集中審議で説明責任は果たされるのでしょうか」
まともに説明しきれるわけがない。厚顔で押し通せるかどうか、それだけだろう。本人はその気のようだが。