舛添要一・東京都知事が政治資金を私的に流用した疑惑の追及が7日(2016年6月)、都議会で始まった。自民党からは「せこすぎる」、公明党は進退にまで言及して、与党も変調だ。野党からは新たな疑惑も突きつけられたが、知事はひたすら頭を下げ続けて逃げ切る構えに見えた。
この日は代表質問。まず、与党の自民から神林茂都議が「私は怒ってます。みんな怒ってます。せこい。せこすぎる」と激しい言葉でスタート。木更津のホテルの家族旅行費用を会議費とした件で、会議に出た人の名前を明かせと迫った。
この件は、「第三者」による調査でも「一部不適切」とされた支出だ。しかし知事は、「先方の立場もあり、お答えできないことをご容赦いただきたい」と明かさず。「都民、都議会のご理解をいただけるよう、政治家として再び信頼をいただけるように、問題点にしっかり対応していきたい」とひたすら頭を下げ続けた。
共産党は和泉なおみ都議が、世界堂での「事務用品費」39万円を新たに取り上げ、領収書には但し書きがなく、領収書を出した売り場は、額縁売り場だったと指摘。「政治資金規正法違反ではないか」とただした。だが、知事は「事務所も適切な領収書を請求するよう徹底しているところ」と、完全にはぐらかした。
54分の答弁中に45回も頭を下げる
議会を傍聴した都民は、「真剣に悪いなという思いが伝わってこない。国民をなめてるんじゃないの」「(追及が)甘い。みんなこれだで怒ってるのに」、さらには与党自民に対して、「30点」「追及しないと自分達が危ないことをわかっているのか」という声まであった。
質問は6時間近くに及んだが、このうち疑惑問題に割いた時間は、自民が40%、公明73%、共産82%、民進55%だった。また質問時間は2時間48分20秒だったが、これに対する答えは54分間。この間45回も頭を下げ、「信頼を回復したい」など、同じ言葉を繰り返していた。まさに嵐が過ぎるのを待つ風情。
知事続投の可否を都民に聞くと、「やめてもらいたい」「人として道を外れている」という一方で、「他に人がいない」と続投支持もあった。
司会の夏目三久「自公の追及をどう見たか」
牧嶋博子(TBS解説委員)「公明党が『知事失格だ』と進退に言及したのは意外だった。自民は言葉は厳しいが、ポーズだけに見えた。世論の動向を見ているのだろうが、やがて火の粉を被ることになる」