北海道・駒ケ岳山麓の山林で置き去りにされ、6日目に見つかった小学2年生、田野岡大和くん(7)がなぜ別の道をたどったかがわかった。泣きながら父親の車を追いかけたが、涙をぬぐっているうちに三叉路の別の道に入ってしまったらしい。
大和くんの家族の相談に乗っていた神奈川県警の元刑事、小川泰平氏が函館の病院に大和くんを訪ねて話を聞いた。
雨が降り出す前に自衛隊小屋避難
それにしても、置き去り現場から、見つかった陸上自衛隊の演習場の小屋まではざっと10キロある。夕闇の迫る中を7歳の少年はどのようにたどったのか。「あさチャン!」は捜索に参加した七飯町消防団の山崎正夫隊長に同行してもらい検証した。明らかにいくつかの幸運があった。
置き去りにされた同じ時間帯に三叉路から林道を辿ると、まるで緑のトンネルだ。不明になった夜は雨が降った。最低気温は8.7度。大和くんは雨が降る前に自衛隊の小屋にたどり着いていた。これが最大のポイント。「雨に濡れていたら危なかった」と山崎さんは言う。
1時間50分ほど歩いたところで開けた十字路になった。大和くんはここで下り道をたどって自衛隊演習場へ向かっている。なぜ下ったのか。山崎さんは「海が見えるんです。28日は晴れていた。街の明かりも見えたかもしれない」と話す。これもポイントだ。別の道をたどったらどうなっていたか。
警察「置き去りは心理的虐待」児童相談所に通告
2時間半経ってあたりが暗くなった頃、自衛隊のゲートがあった。大和くんはこれをくぐって演習場内に入った。場内の広い道路をさらにたどって、歩き始めから3時間、かまぼこ型の小屋が見えてきた時は、もう真っ暗だった。ここでもう一つの幸運、建物の扉に鍵がかかっていなかった。
中に入ってみると、マットレスがあった。大和くんはマットレスの間に潜り込んで体温を保った。さらに建物の外には水道があった。これが6日間を過ごせた理由だった。保護された時、「軽い脱水程度、軽い低栄養状態で、命に別状はない」(医師)という状態だった。
父親は会見で「本当に辛い思いをさせて、『ごめんな』と言いました。息子は『うん』とうなずいてくれました」と語っていた。「あさチャン!」のインタビューに「日に日に元気になっています。母親のハンバーグが食べたいとか。母親は、『大和のこと愛してるんだよ』とキスしてました」
「しつけ」としての置き去りにはネットなどでさまざまな声を上がっている。警察も「心理的虐待」の疑いがあるとして、両親を児童相談所に通告した。