東京・杉並区は公園敷地に保育園の建設を計画しているが、住民から強い反発が起きている。区有地なら早くできると考えた案だが、おととい29日(2016年5月)に開かれた説明会は5時間にも及んで、大荒れとなった。
公園は「久我山東原公園」で、井の頭線の駅に近い住宅街の真ん中にある。テニスコート8面分ほどの広さで、土のグラウンドのほか、滑り台などの遊具、水遊びのできる噴水流もある。住民の要望で20年以上前に作られ、防災拠点でもあり、祭りの会場などにも使われてきた。
杉並区は来年4月までに11の保育所(2200人)を建設して、「待機ゼロ」を達成する予定だ。区内の待機児童は去年4月の42人が、今年は136人、来年は500人超と急増する。出生数の増加と働きたい母親が増えているからだ。「緊急事態」を宣言し、この保育園建設計画も今月決定、8月着工、来年4月開園と急いでいる。80人受け入れよていで、公園敷地の40%を潰すことになる。
待機児童いる母親も「何もあそこに作らなくても」
住民が反発しているのは、「区有地だからどう使おうが区の勝手だ」というようなやり方である。300人が参加した説明会では、「緊急事態だからの一言で何をやってもいいのであれば独裁政治だ」「近隣住民の意向を無視している」「他に土地を探して建てるべきだ。子供たちが使っている公園を取り上げるな」という声があがり、少年もマイクを取って「子供がいっぱい使っている公園をなくすんですか」と聞いた。区が10年前に「少子化で認可保育所を作らない」という方針を決めたことが対策の遅れにつながったと、「失政だ」と追及する声もあった。
近隣の声を聞いても、「建てるのはいいけど、公園に作ることはない」「子供が遊ぶところがあまりないので、保育所になったらかわいそう」「平成29年4月開園ありきで、もっと時間をかけていい」などなど、区の見通しの誤り、安易なご都合主義への厳しい批判だった。
これに対して、区は「候補地を決めて意見を聞いてという暇がなかった。緊急です」というばかり。通常、保育園建設には2、3年かかるのだという。それだと来年4月の間に合わないという。
待機児童のいる母親で、8か所で断られて仕事復帰ができないという区民も「東原公園は子供達には貴重ですよ」という。