安倍晋三首相は消費税率10%の引き上げを2019年10月まで再延期する方針を固めた。しかし、延期も2度目ともなれば、財務相も「はい、そうですか」とはいかない。麻生財務相は29日(2016年5月)に富山市で開かれた講演会で「われわれはおととし暮れに、1年半後に(消費税率を)上げますとはっきり言って選挙で当選してきた。再延期というなら、もう1回信を問わないと筋が通らない」と、夏の参院選に合わせた衆参バブル選挙を主張した。自民党の谷垣禎一幹事長も「進むも地獄、退くも地獄だ」と再延長に慎重な意見を述べた。
一体改革だったはずの社会保障は置き去り
2年半の再延期には安倍政権の遠謀がある。2018年9月には自民党総裁6年の任期満了、同年12月には衆院議員4年の任期満了を迎える。さらに19年春の地方統一選、直後に参院選も控える。これらの選挙に不利にならないように、引き上げはその後というわけだ。さらに、20年夏の東京五輪を前に、19年後半から五輪特需が盛り上がるという計算もあるようだ。
住田裕子(弁護士)「景気の中折れリスクがあるということもあります。今回の消費増税はどうかなぁと思っていました。消費増税は元気な時にしかできない。環境がうまくいってからやるべきだという判断が必要だと思いますね」
イチから増税議論し直せ
玉川徹(テレビ朝日デイレクター)「消費増税が最良の選択肢なのかという話までしないといけないんじゃないでしょうか。増税したら景気が悪くなるのは確実なのだから。社会保障の財源を消費税ではなく、別の財源、たとえば相続税などに財源をもとめるとか。消費に影響を与えない財源を考えないとダメなのではないですかね」
そもそも、消費税アップは「税と社会保障の一体改革」ということで始まったはずである。社会保障改革は置き去りにして、政局優先で税の方ばかりいじるのは問題のすり明けである。まあ、アベノミクスの失敗が浮き彫りになったことだけはまちがいない。