まだ海よりも深く愛したことがないから生きていけるのよ
響子と真吾は暇つぶしに人生ゲームをしている。良多が風呂から上がり、真吾と入れ替わる。響子に「二人でやろうか、人生ゲーム」と誘うと、「冗談じゃないわよ、あんたと人生ゲームなんて」。このセリフが一番笑えた。
深夜、寝付けず起きてきた良多と淑子。そこで、テレサ・テンの「別れの予感」がラジオから流れてくる。「海よりもまだ深く~」。淑子が「人はまだ海よりも深く愛したことがないから、生きていけるのよ」と諭す。ここで終わればしみじみとした「いい話」なのだが、さすが是枝監督はそうはしない。淑子は続いてこう言う。「私、今いい話しなかった? メモして次の小説に使いなよ」
翌朝、良多は真吾を公園へ誘う、響子も後を追う。そこで3人の「冒険」が始まる。台風一過、カラッと晴れた青空の下、それぞれの思いを胸に別れていく。
佐竹大心
オススメ度☆☆