安倍政権が弾くほど甘くない衆参ダブル選の皮算用!過去2回は中選挙区制
週刊新潮、週刊文春は、サミットで支持率が50%を超えれば、安倍はダブル選挙を決断するのではないかと見ている。ただ、身内にも造反の動きはあるようだ。週刊文春は麻生財務相はダブル選には賛成だが、消費税増税延期には反対しているという。先頃行われたG7の財務大臣・中央銀行総裁会議でルー米財務長官に「消費税は予定通り上げる」と言ってしまっているからだが、菅官房長官もダブル選挙には消極的なようだ。
週刊新潮によれば、5月中旬に自民党が行った衆院選と参院選の情勢調査が「結果は、自民党にかなりいい数字が出ています。具体的には,参院は単独過半数に必要な57議席は取れそうな勢い。(中略)衆院の方は,マイナス20議席だった」(自民党関係者)。どっちみち減るのは間違いないが、20議席なら御の字ということだろう。
だが、そう思い通りにはいかないと読む自民党関係者もいる。これまでダブル選挙をやったのは選挙期間中に大平総理が急死したときと、中曽根総理の「死んだふり解散」の2回だけだが、ともに中選挙区制で、自民党の支持団体や後援会組織がしっかりしていた頃だった。いまは組織も弱体化し、ダブル選挙で投票率が上がると無党派層が選挙に行き、彼らは非自民候補に入れる傾向が強いから、自民党有利というのは未知数だというのである。
そのうえ、先に触れた米元海兵隊員シンザト・ケネフ・フランクリン(32)の島袋里奈さん(20)強姦殺人事件が沖縄の怒りをかき立て、日本人全体の怒りに火をつけることになれば、自民党には逆風どころではなくなる。
シンザト容疑者は現在は軍人ではなく、米軍基地で勤務している民間人(軍属)だが、日米地位協定では軍人および軍属の公務中の事件の裁判権は米国が持つとされている。今回は「公務外」であるため沖縄県警が逮捕、捜査を行っている。
1995年(平成7年)9月4日「午後8時頃」にアメリカ海兵隊員2名とアメリカ海軍軍人1名が12歳の少女を集団強姦した事件では、日米地位協定によって実行犯3人が日本側に引き渡されなかったことで沖縄の怒りが爆発したが、米軍側はその二の舞を恐れたのであろう。週刊文春によれば、菅官房長官はオバマ大統領訪日を控えて、米軍属を逮捕して基地問題が再燃することを最初は嫌っていたそうである。
殺された島袋さんの父親に週刊文春はインタビューしている。<「(里奈さんの死を基地問題に関連づける)そうした報道があることは知っています。でも、私は里奈の父親ですから、娘が一番なんです。(中略)今は娘のことしか考えられないんです」>
せめて四十九日まではそっとしておいてほしいといっている。親族の心情としては分かりすぎるほど分かる。島袋さんの死を利用するのではなく、選挙を前にしたこの時期、沖縄の戦後をもう1度問い直し、日本人全体の問題として考えることには躊躇してはならないと思う。