クドカン(宮藤官九郎)に外れなし、やっぱり面白いわ。それになんと言っても、イケメンで実力も兼ね備え、好い男として成熟しつつある俳優3人衆(岡田将生・松阪桃李・柳楽優弥)を鑑賞するのが楽しい。
その3人衆に個性派女優の安藤サクラや、今やこわもて変じて愛嬌たっぷりのオッサンと化した吉田鋼太郎が絡んで、生き生きとしたクドカンワールドが繰り広げられる。
ドラマでは3人は1987年生まれの29歳という設定(実際は3人とももっと若い)で、土曜日が完全に休みとなり、授業時間が大幅に削減された「ゆとり教育」の第一期生だ。「学力が低い」「競争心がない」「協調性がない」等々いろいろ言われ、果ては「おゆとりさま」と揶揄(やゆ)されてきた世代である。その彼らも社会人生活数年、もはや日本全体にゆとりがなくなった時代の荒波の中で懸命に生きている。
吉田鋼太郎「レンタルおじさん」だけが相談相手
食品会社の営業職・坂間正和(岡田将生)は彼なりに精一杯仕事をしているのだが、後輩の山岸(太賀)のせいで焼き鳥チェーン店に出向させられ、クサッている。この後輩の山岸がホント腹立つぜ。自分のチョンボで取引先をしくじったのに、まるっきり恐縮のカケラもない。「ゆとり教育」も何年も続くうちにどんどん進化(?)したのか、第一世代もびっくりのエイリアンぶり。私が先輩だったら、きっと殴ってるね。
恋人の茜(安藤サクラ)は素晴らしく仕事のできる女で、同期だが今は上司で、職場では彼女に叱られてばかりの毎日だ。こういうカップルも珍しくないかもしれない。彼女の方が優秀だからとか、上司だからとかこだわってたら、恋人なんかいつまでたってもできないかもよ。
坂間のストレス発散は「レンタルおじさん」(吉田鋼太郎)相手に言いたいことを言うことだ。ずいぶん前、実際に「レンタル家族」という商売が話題になった記憶があるが、しかつめらしいカウンセラーとやらでなく、気軽なおじさん、おばさんとして話を聞く仕事も成り立つかもしれない。
もうひとり「レンタルおじさん」を利用しているのが小学校教師の山路(松阪桃李)である。なかなか良い授業をする先生だが、気の毒なことに、童貞であることが学校中に知れ渡っている。もっとも本人も隠していないのだが。
イケメン俳優3人のライバル意識むき出しも見どころか
と、フツーの好青年が2人そろえば、あとの1人はフツーであるはずがない。盛り場で「オッパイ、いかがっすかあ」と「オッパイ、オッパイ」を連呼しながら客引きをするニイちゃん、オッパイ・パブの経営者・道上まりぶ(柳楽優弥)である。なんだ、「まりぶ」って! これがじつはレンタルおじさんの息子で、子持ちで、大学受験生で、とフツーを思い切り蹴破ったような男である。こいつがなかなか深いことを言う魅力的な奴なのだ。
この三人がなんやかんやで友情を結んでゆく展開なのだが、俳優としても良きライバルとして互いに食われまいと切磋琢磨している気配がほのかに見えてほほえましい。
それから坂間には「ゆとり」ちゃんという就活中の妹がいる。「ゆとりですが・・・」というタイトルは彼女の一人称、というわけじゃないよね。(日曜日よる10時30分~)
カモノ・ハシ