東京・小金井で芸能活動をしていた大学生の冨田真由さん(20)が刺された事件で、目撃者から110番通報が入る1分前に、冨田さん本人からも110番が入っていたことがわかった。電話は繋がったままで、冨田さんの悲鳴や凶行の物音を通信制令室に届いていた。警察はなぜかこれまで目撃の110番が最初と言っていた。
殺人未遂で逮捕された岩埼友宏容疑者(27)は、小金井駅でライブ会場へ向かう冨田さんを待ち伏せ声をかけたが、無視されて逆上し、用意したナイフで冨田さんの胸や首など20か所以上を刺した。冨田さんは依然意識不明の重体だ。
機能しなかった緊急通報システム
冨田さんは岩埼のブログへの執拗な書き込みについて、9日(2016年5月)に武蔵野警察署に相談していた。そのときに110番緊急通報システムに登録した。冨田さんが通報すると本人からだと自動表示される。
ところが、この通報が入った時、110番センターは通常の呼びかけをしており、冨田さんが応答できない状態で「きゃー、助けて」などと叫ぶのをただ聞いていたらしい。本来なら、登録した人物が襲われていることが瞬時にわからなければならないし、そうでなければシステム登録の意味がない。
岩埼は群馬県出身で、中学時代は柔道の90キロ級で県大会3位になったこともあった。推薦で公立高校に入って1週間で退学した。2年後に別の高校に入学したが、同級生は2歳年下なので、いつも一人で「クラスの人としゃべっているのを見たことがない」という状態で、結局、ここも中退してしまう。京都へ移って造園会社で働いていた。
冨田さんのライブで最前列に座っている写真も残っており、熱心なファンだったらしいが、冨田さんがツイートをブロックしたあたりから無断欠勤が目立つようになった。ネット通販でナイフを入手し、犯行当日に上京した。直前にツイッターに「まだかな、まだかな」と書いていた。