失敗しても気持ちの切り替え
馬淵コーチが目をつけたのは脚力だった。「脚力があるので3回転半をやると回転が速くて止まらない。じゃあ4回転半させるしかないと」と決めた。小学5年生の時に才能を見込まれて五輪養成コースへ進んだ。その成果が昨年6月(2015年)の日本室内選手権で出た。5回飛んだ得点合計が404.20。ロンドン五輪金メダル422.30にはあと一歩だったが、銀メダルの366.56を大幅に上回る記録となった。
「自信はどうですか」と羽鳥が聞く。「試合で1本失敗したら次どうしようかとなってしまうので、そこの切り替えができるようになったら、試合での不安がなくなると思います」
羽鳥は高飛び込みの過酷さをこう伝える。「最初に4回転半を飛んだ時に失敗して両腿がアザで真っ青になったそうです。今も最初に回転するときは怖いらしいです。回転しているときに、シュン、シュン、シュンという音が聞こえてくるんだそうです。その音を聞いて4回転するんだそうです」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト