中年フリーターの主人公・鈴木英雄(大泉洋)は、プロの漫画家としてデビューすることを夢見て漫画家のアシスタントとして働いてはいるが、実際はまったく才能がなく、同棲中の恋人・てっこ(片瀬那奈)にも愛想をつかされていた。
街中では狂人と化して人に噛みつく事件、インフルエンザのような新型のウィルスが蔓延しているといった奇妙なニュースが流れていた。漫画の連載がもらえなかった英雄は、ついにてっこに趣味の散弾銃と一緒に家から追い出されてしまう。翌日、英雄はてっこから不審な症状を訴える電話を受ける。心配して駆けつけると、てっこは恐ろしい姿に変貌していた。何者かに噛まれ、ZQN(ゾキュン)と呼ばれるゾンビになってしまっていたのだ。花沢健吾のヒット漫画が原作。
さえない中年フリーター大泉洋は女子高生・有村架純守れるか
新感覚エンターテインメントというキャッチコピー通り、とにかく主人公・英雄を取り巻く人々が次々とZQNになってからの急展開には度肝を抜かれる。なぜZQNが生まれたとか、そういった細かい説明はなく、襲われる人、襲う人の血がこれでもかと吹き出しまくる。
ZQNは頭部が弱点だということで、みんな頭めがけてバットや斧でとにかくむちゃくちゃ殴る。ZQN化して恐ろしい形相となった人間が1体1体ていねいにつくられていて非常にリアルだ(本物を見たことはないけど)。ありえない方向に曲がった四肢、腐敗した体。なのに動きは機敏。車にはねられてもピンピンしていて、猛スピードで住宅街を疾走し人を襲う。噛まれたらその人もZQNになるからどんどん増えていく。英雄はZQNで溢れかえった道路を叫びながら走り逃げる。その後ろで次々と無残に人々が殺されるシーンは、ハリウッド映画顔負けの出来だ。
この映画は単なるゾンビ映画ではなく、ダメ男だった英雄の成長も描かれる。35歳、フリーターで気が弱く、妄想ばっかりしている。そんな英雄が女子高生・比呂美(有村架純)を守るために変わっていく。クライマックスで散弾銃を撃ち放つ英雄の背中は、まさに「ヒーロー」そのもの。ウォーキングデッドも真っ青のゾンビ映画だった。
PEKO
おススメ度☆☆☆☆