舛添要一東京都知事は参院議員時代に、政治資金を使ってビジネスをしていた疑いが出てきた。知事が購入した美術品の代金を政治資金収支報告書に「資料代」として計上していたが、ファミリー会社の登記簿の「会社目的に絵画、陶器等美術品の販売」とあったからだ。
ファミリー会社の登記に「絵画、陶器等美術品の販売」
舛添知事に絵画を売った人は「名前は舛添で字も同じでしたが、私としては政治家の方がオークションやっているとは思わなかった。これまで複数回、絵画の取り引きをしたことがあります。この時の領収書のあて名は『グローバルネットワーク研究会』(現在は解散)だった」と話している。
ネットオークションに出品している別の美術店店主はこう話す。
「何度か入札をいただいています。ただ、いつも安値でしか入れてこないので、実際に落札されたのは2点ほどだった。梅原龍三郎のリトグラフ(版画)で、たしか『横たわる裸婦』だったと思う。領収書は資料代にして欲しいと。ほとんどの方はアート代、あるいは品代で、この仕事をして25年から26年になるが、資料代の名目は舛添さん一人しかいなかった」
では、どんな政治資金ビジネスの疑いがもたれるのか。番組リポーターの岡安弥生が東京・世田谷の住宅街にある自宅を訪れると、玄関にその一端を窺わせる「舛添政治経済研究所」の看板が掲げてあった。株式会社形態のこの研究所は知事の妻が代表取締役で、本人は取締役になっているファミリー会社だ。登記簿に、会社の目的は「絵画、陶器等美術品の販売」とある。
自宅に政治団体と自民党支部の事務所。相場より高い家賃で賃貸
新たな疑惑も出てきた。2012年の政治資金収支報告書を見ると、この家の「家賃」「事務所賃借料」の名目で、グローバルネットワーク研と新党改革比例区第四支部から合わせて44万2500円が毎月支払われていた。自宅は地上3階建て地下1階だが、築50年ほど経った古い建物で、地元の不動産業者は44万円の家賃は高すぎるという。
日本大法学部の岩井奉信教授はこう見る。
「法律(政治資金規正法)上問題はなくても、最終的にファミリー企業に税金が還流していて、道義的問題はあります。自宅を事務所費に計上している議員は結構いますが、安く借りて政治資金を大事に使っている。舛添氏の場合で見ると家賃が高い。利益供与というか還流させているという疑惑がもたれます」
コメンテーターの青木理(ジャーナリスト)「話がせこくて、庶民の琴線に触れることで批判のトーンを増幅させていますよ。せこすぎることに尽きる」