日米両政府は日本時間のきのう10日(2016年5月)夜、オバマ米大統領が伊勢志摩サミット後の今月27日に広島を訪問すると発表した。安倍首相も同行する。
現職のアメリカ大統領の被爆地訪問はもちろん初めてで、「核なき世界」を提唱するオバマ大統領にとっても、歴史的な意義を込めた訪問と言えそうだ。ただ、被爆者との面会や演説など詳しい日程は確定していない。
ホワイトハウス報道官「われわれは核兵器を使った唯一の国」
安倍首相は「被曝の実相に触れ、その思いを世界に発信することは、核兵器のない世界に向けて大きな力になると信じます」と語った。ホワイトハウスのアーネスト報道官は訪問の意図を、「われわれは核兵器を使った唯一の国であり、核兵器廃絶へ世界を主導する責任がある」と原爆投下の責任に言及。「戦時中に亡くなったすべての無実の人々に敬意を表する機会」とも述べた。
これまで広島を4回訪れているケネディ駐日大使は、「日米の友好と揺るぎない同盟関係のたまもの」とコメントした。08年に広島を訪れた米議会民主党のペロシ下院院内総務も「歴史的決断だ」と評価した。
米国内世論配慮して「原爆投下への謝罪はせず」
オバマ大統領は初来日の09年11月に、「将来、広島・長崎を訪問することは光栄なことで意義深い」と語っていた。プラハで「核なき世界」を提唱した後だった。しかし、その時も、のち2回の訪日でも、広島訪問は見送った。米国内では、原爆の投下を「戦争の終結を早め、多くの命を救えた」と肯定的に評価する声が依然強いからだ。世論調査では半数以上の人が原爆投下を正当だとする。大統領の広島訪問は「原爆投下への謝罪」と受け止められかねないと懸念したのだ。
G7外相会議で訪日したケリー国務長官が各国外相と並んで原爆記念碑に献花し、「ここを訪れることがどれだけ重要かをオバマ大統領に伝える」と語って、広島訪問の機運が一気に高まった。
オバマ大統領の任期は残りわずか。提唱した「核なき世界」も実現には遠い。広島からの発信は自身の決意を飾る最高の舞台なのかもしれない。
しかし、これについてスタジオからのコメントはなし。あとのニュースで補ってそれきりだった。