会社存続の危機である。三菱自動車の燃費データの不正は25年前から行われていたことが新たにわかった。きのう26日(2016年4月)、相川哲郎社長は先週の謝罪会見に続き「会社の存続に関わるくらいの大きな事案。誠に申し訳なく思っています」と再び頭を下げた。
軽自動車の「eKワゴン」など4車種62万5000台の燃費データ不正について、国の定める方法とは異なる測定をしていたのは2002年からと説明していたが、きのうはさらに11年前の1991年から始まっていたことを明らかにした。会見で「20年以上知らなかったのか」と聞かれ、「承知していませんでした」と語った。
データ改ざんは全車種?
なぜ燃費データの不正は続けられたのか。中尾龍吾副社長が釈明する。「軽自動車の世界では『燃費競争』があり、他社の燃費情報を入手したとき、当社としてその値が達成できるのか(ということになる)」
11年当初、三菱eKワゴンが目標としていたのは1リットル当たり26.4キロだった。しかし、翌年にスズキはワゴンRを燃費28.8キロで発売した。これを見て三菱は目標を29.0キロに引き上げるが、ダイハツのム―ヴが29.0キロで先行し、三菱はさらに29.2キロまで引き上げた。eKワゴンの目標値は達成できないまま5回も引き上げられたことになり、中尾副社長は「結果から見れば、(開発現場には)プレッシャーだったなと思います」と認める。
しかし、25年前から燃費データ-を捏造していたとなれば、年(見出し)競争の軽自動車だけでなく、三菱の全車種でごまかしていたということにならないか。
三菱自動車はこれまでも不祥事を起こしている。2000年にはクレーム情報を隠蔽して組織的なリコール隠しが発覚し、04年には死亡事故の後で部品に構造上の欠陥があった謝罪した。その時も、経営トップは「自動車メーカーの存続する最後の挑戦である」と述べていた。