アカデミー賞の作品賞と脚本賞を受賞し、「ジャーナリズムの真実の姿がここに」とジャーナリストから高く評価されている。アメリカ東部の地方紙「ボストン・グローブ」紙の実話をもとにしている。
新しい編集局長にマーティ・バロン(リーブ・シュレイバー)が着任した。マイアミからやってきたバロンは、地元のカトリック教会の神父が30年間に80人も性的虐待を行ったという情報を追及すると宣言する。周囲ではこれまで口にすることもタブーとされてきた噂だ。
担当を命じられたのは「スポットライト」欄を手がける4人の記者だった。「スポットライト」は1つのネタを数か月間じっくりと追いかけ、1年間にわたって連載する特集記事だ。デスクのウォルター・ロビンソン(マイケル・キートン)をリーダーとするチームは、被害者や弁護士たちへの地道な取材を積み重ねる。
無言の圧力、判事の脅しに「記事にしない責任を取るのか」
性的虐待が描かれるわけでもなく、神父を告発するシーンがあるわけでもない。しかし、神父や幼児の映像がフラッシュバックのようにときおりインサートされることで、かえっておぞましさが増す。カメラは丹念に記者の取材活動を追っていく。
無言の圧力もあって、取材は困難を極めた。しかし、記者たちは果敢に立ち向かう。神父の犯罪を裏付ける資料の提供を求めると、判事は渋る。「この文書はかなり機密性が高い。これを記事にした場合、責任は誰が取るのか」と判事が脅すと、記者はこう切り返す。「では、記事にしない場合の責任は?」
取材を進めていくと、数十人の神父の性的虐待をカトリック教会が組織ぐるみで隠蔽してきた事実が判明する。被害者は1000人を超えていた。「スポットライト」チームは個々の神父を糾弾するのではなく、「教会」という組織による隠蔽システムを暴くという方針を決定する。2002年1月、全米を震撼させる「世紀のスクープ」がグローブ紙の1面を飾った。