なぜ壊れた?耐震補強したばかりの校舎・体育館・・・ボルト抜け落ち筋交い垂れ下がり

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   地震の避難所として使われている熊本市内の小中学校の体育館で、137校のうち損傷が激しい24校の体育館が閉鎖され、避難者たちは移動を余儀なくされている。

   帯山小学校の体育館は16日(2016年4月)の本震で天井から複数のボルトが落ち、ボルトで支えられていた鉄製の筋交いが垂れ下がった。避難者にケガはなかったが、学校側は体育館を閉鎖し、避難者には校舎へ移動してもらった。

想定されていなかった「震度7」連発

   熊本市の教委育委員会は今年3月までに、公立小中学校137校すべての耐震補強を完了し耐震化率100%を達成したばかりだった。築46年の帯山小も補強工事を終えていた。市教委では被害状況を調べているが、分かっただけでも小学校16校、中学校8校の体育館で破損が見つかり、危険と判断して閉鎖措置を取った。しかし、帯山小のように避難者が移動した校舎も壁や床の亀裂が見つかっており、安全ではなさそうだ。

   なぜ耐震補強しながら壊れたのか。「補強工事をしたからこの程度で済んだのではないか。していなかったら倒壊していたとも考えられますよ」(作家の吉永みち子)と言えなくはないが、耐震補強に40年間携わってきた一級建築士の井口哲朗しは次のように話す。「今回の地震は震度7が2回、震度4以上が92回に達しています。われわれの設計は震度7が1回起きるという想定で、その意味では想定外でした。体育館も校舎も同じ耐震強度で設計されているので、校舎もどれだけダメージを受けているか検証しないと安全とはいえません」

地方によって違う「国交省の地震係数」熊本・大分は低かった

   井口氏はもう一つ問題を提起した。国の耐震基準が地域によって異なる点だ。国土交通省の地域別地震係数によると、東京、神奈川、千葉、埼玉など首都圏は1・0で、熊本、大分は0・8と低くなっている。この地震係数から首都圏の建物の耐震強度は震度7でも耐えられるよう設計されているが、熊本や大分は震度5強~6止まりで、それ以上だと何らかのダメージを受ける。

   井口氏「これは昭和25年に作られた基準で、その後、大きな地震があっても見直されることなくきています。地域差があるのは納得できないですね。命を守る大切な住まいにお金をかけて耐震を高めるのは当然で、国が率先してやるべきです」

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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