7月再稼働予定「四国電力・伊方原発」大分の震源すぐ目の前
週刊文春と週刊新潮は当然ながら熊本大地震の記事がトップで、ページもたっぷり取ってやっている。週刊文春のタイトルは「原発は本当に大丈夫か?」、週刊新潮は「『熊本地震』瓦礫に咲く花」。珍しく週刊新潮にしては切迫感の乏しいタイトルである。
まずは週刊文春から。地震直後の18日の衆議院TPP特別委員会で、丸川珠代環境相兼原子力防災担当相が答弁を要求されていないのに自ら立ち上がり、こう発言した。「(原子力)規制委員会において、今のところ安全上の問題がないと判断されたと報告を受けております」
これを拙速な安全宣言だと週刊文春も批判している。地震の震源地から半径約150キロ圏内には3つの原発がある。鹿児島県の九州電力川内原発、佐賀県の九州電力玄海原発、愛媛県の四国電力伊方原発で、川内は2015年に1号機、10月には2号機が再稼働している。
玄海、伊方も近いうちに再稼働が見込まれている。今回の地震の震源は熊本から大分に向かって北東へ移動しているが、この断層帯の延長線上には川内と伊方原発が位置しているのだ。
とくに川内原発は<過去に巨大噴火を起こした桜島周辺の姶良カルデラ(陥没地形)などに囲まれた『火山銀座』の内側にある>(週刊文春)ため、<「全国の原発で最悪の場所にあると言える」(井村隆介鹿児島大准教授)>
今月6日の川内原発差し止め裁判で、福岡高裁宮崎支部は住民側の抗告を棄却したが、一方で「最新の知見でも噴火時期や規模の的確な予測は困難な状況。規制委が的確に予測できることを前提に立地評価している点で、不合理といわざるを得ない」と付言しているのだ。
さらに、九州電力は川内原発を再稼働した後に「免震重要棟」をつくらないと発表した。玄海原発にもつくる考えはないといっている。国会の原発事故調報告書で東電の清水元社長が「あれがなかったと思うとゾッとする」といっているほど重要なものを、平然とつくらないといい出しているのである。異常というしかない。
その国会事故調は、福島第一原発の電源が失われたのは津波の前、地震による可能性が高いと報告しているのだ。だが、週刊文春によれば、伊方原発は地震による最大級の揺れの想定「基準地震動」を570ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)から650ガルに引き上げたから安全だといっているが、<「熊本大地震は千五百八十ガルを記録しています。これは地表での数値で、原発は固い岩盤の上にあるので、その半分ぐらいをイメージすればいいとはいえ、六百五十ガルでは到底耐えられない」(岡村眞高知大特任教授)>いうのである。こうした大きな疑問に対して、規制委員会の田中俊一委員長は出てきて説明するべきだ。