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「木曜日夜10時前」校了直前の大地震!ほとんど記事突っ込めなかった週刊現代と週刊ポストのパワー低下

   週刊誌人間の性だろう。熊本地震が起きたときすぐこう考えた。木曜日、夜10時前、週刊現代と週刊ポストは校了の最中である。校了中にテレビかネットで地震発生のニュースを知っただろう。ギリギリ間に合ったのではないか。

   すぐに印刷所に電話して、締め切りを金曜日の朝8時まで延ばしてもらう。動ける人間をかき集めて直ちに取材を始める。最低3ページはほしい。目次も差し替える。アンカーマンを手配してデータ原稿が少しまとまった時点で書き始めてもらう。ギリギリまで取材を続け、最後は口述でアンカーマンに伝える。何とかなったはずだ。

   そう思って月曜日(2016年4月18日)の週刊現代と週刊ポストの新聞広告を見ると、週刊現代には「『南海トラフ巨大地震』は半年以内に起きる!」というタイトルがあるが、週刊ポストにはない。私の時代から週刊ポストの校了は早かった。10時頃には終わっていたようだ。週刊現代は12時前に終わることは希だった。だが、これだけのニュースを知ったからには、編集部員に連絡して取材をさせ、突っ込むべきではなかったのか。

   週刊現代にしてもわずか1ページである。私の頃と違って、印刷所が校了遅れにいい顔をしないのだろうか。編集長がそこまでいい出せないほど弱腰なのか。せっかく週刊誌の第一報を好機とは捉えなかったのだろうか。

   テレビや新聞では触れない疑問は多々ある。もし震度7の地震が川内や玄海原発の真下で起きていたら。比較的地震の少ないといわれていた熊本で地震が起きたことで、首都圏地震が早まる恐れはないのだろうか。震度7に耐えられる住宅やビルが都市部でどれぐらいあるのかなどなど知りたいことはある。

   事件ものや素早い取材を要する記事づくりをしてこなかったために、初動が遅れたのではないか。わずか1ページの週刊現代の地震記事を読みながら、そう思った。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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