経営方針をめぐって父と娘が対立し、娘が勝った大塚家具のお家騒動から1年。敗れた大塚勝久氏が新会社「匠大塚」を設立して、「新たな一歩を踏み出します」と宣言した。「私の原点にあるのはものづくりに対するこだわりです。社名に込めた匠の思いはここにあります」という。勝久氏が会長、長男の勝之氏が社長だ。
だが、勝之氏は「ここでは何もお売りしませんとあえて言わせていただきます。商品の作り手とお客様のために用意したいわば舞台であり、発信基地であります。新しいビジネスモデルです」という。どういう会社なのだろう?
「すぐにお売りする家具はありません。特注品を提案」
中山美香リポーターが東京・日本橋タワーの新店舗を取材した。受付は「匠」を織り込んだかっこいいロゴを背に、高級感あふれる大理石だ。中へ入るとフロアいっぱいに世界中から集めた家具が並んでいた。フェラーリのデザイナーがデザインした家具(価格未定)、イタリアの大理石のターンテーブルがついたダイニングテーブル(100万円から)、屋久杉など希少木材の一枚板とか、ブランド30社以上。和ダンスの前には白手袋が置いてある。触るときは手袋をはめてということか。見るからに高級そうなものばかりだが値札が付いていない。
営業部長は「ここは特注をしたり、色を変えたりとかで、工場とお客様を直接繋いでいくイメージです」と説明する。中山が「企業向けですか」と聞くと、「そうですね」。「一般の方も入れるんですか」「内覧はご予約をいただければ可能です」。つまり、家具そのものの販売所ではなく、インテリアのコーディネートなどを提案するサロンということらしい。
勝ち組の娘社長「大塚家具」と差別化
司会の加藤浩次「(娘が経営する大塚家具と)競合しない感じはしますね」
勝久氏も新ビジネスを「前の会社との差別化をしておきたい」と言っている。「いろんな商品を見られるショールームは1社もないと思う。商品開発力を見ていただきたい」
脱高級路線に踏み出した大塚家具は堅調のようだが、勝久氏の「差別化」がどう実を結ぶか興味がある。