群発地震で9万人以上が避難生活を送る中、熊本市で女性がエコノミークラス症候群で死亡した。いわゆる災害関連死に当たるもので、救援物資の不足などと合わせ、災害は新たな様相を見せてきている。
行方不明者の捜索ではきのう18日(2016年4月)、南阿蘇村の土砂崩れ現場から男女1人づつが発見され死亡が確認された。一連の地震による死者は44人になった。まだ8人と連絡が取れずにいる。
エコノミークラス症候群、誤嚥性肺炎など関連死
車の中で避難生活を送っていた50代の女性と60代の女性2人も心肺停止、意識不明となっている。他に10人が胸の痛みなどで病院に搬送された。いずれもエコノミークラス症候群とみられる。
避難生活を送る被災者の中に元マラソン選手の松野明美さん一家がいた。熊本市在住で、夫、中学1年生と2年生の息子と4人で公園の車で過ごしているという。阿部祐二リポーターの電話に「足に違和感がありますが、走れない。走る気力もない」と話す。
車で過ごしている人たちは、避難所ではプライバシーが保たれない、余震で建物自体が壊れるのが怖いという理由だが、「避難所は年寄り優先で」と譲る人もいる。
防災ジャーナリストの渡辺実さんは、エコノミークラス症候群を避けるには「水を飲むこと。体を動かすこと。それから足を揉むこと。寝る時に足を温めること」とアドバイスする。また、衛生状態の悪化で、高齢者の誤嚥性肺炎の危険が高まっている。
避難所の食事「おにぎりとバナナ」カップ麺余ってるのにお湯が沸かせない
被害の大きかった益城町や南阿蘇村では、道路の寸断で救援物資が届かず、スーパーにも物がない。1000人が避難している保健福祉センターでは、敷物もないコンクリートの上に座り込んだり、寝転がったりしている。大竹真リポーターがここでの食事を見せた。
「朝はおにぎり1つ、バナナ1つと一家にゆで卵1つでした。昼は菓子パン1個。夕食はおにぎり1つ、バナナ1つです。一方でカップ麺は余っています。目の前にあっても、大量にお湯を沸かせないからなんです」
いや、カップ麺は時間は20~40分かかるが、水でも十分食べられる状態に戻る。
司会の加藤浩次「こういう状況では、物資が届かないというのは起こりがちですがね」
ロバート・キャンベル(東京大教授)「政府は10万食を送ったといいますが、拠点に止まってしまっているようです。国と地方の連携がうまくいってないんです。ニーズを把握できない」
熊本県は地域防災計画で、緊急時に備えて物資集積の拠点を3つ予定していたが、3か所とも被災して使えなくなっていた。物は集まってきているのだが、さばく人手がない。運ぶトラックはあっても運転手がいない。
こうした中、きのう18日午後5時、南阿蘇村に米軍のオスプレイ2機が救援物資を届けた。簡易トイレ、トイレットペーパー、水、食料、医薬品、毛布など約20トンだ。さすがにヘリコプターより格段に優れた機動力、輸送力だが、災害支援に名を借りたどこかデモくさい。
熊本地方の新幹線と高速道路は止まったままだが、熊本空港はきょう19日から到着便だけが利用可能になった。