アテネ五輪のマラソン金メダリスト、野口みずき選手(37)が現役引退を表明した。先のリオ五輪代表選考レースで最後のチャンスにかけたが及ばなかった。引退の理由を「トップレベルの走りができなくなった」と語った。「足が壊れるまで走りたい」と始めたマラソンだったが、栄光の後、文字通り「足を壊して」しまい、選手生活の後半は体との戦いだった。
アテネ五輪金メダル「シドニーの高橋尚子さんを自分に置き換えて走った」
アテネ五輪の走りは今も鮮烈に記憶に残る。ゴールの後、「もう幸せです」と見せた笑顔。翌年のベルリン・マラソンでは2時間19分12秒の日本記録を出した。この記録は未だに破られていない。その後は苦難の道だった。08年の北京五輪は代表に選ばれながら練習しすぎて体を壊してしまった。まさかの出場辞退。次のロンドンは代表入りできず、13年の世界選手権は途中棄権。そして先月行われた名古屋ウィメンズは23位に終わった。まさしく限界といっていい。
野口は「思う存分走れた。思いが達成できました」「多くの人に支えられて、幸せな選手生活でした」と話した。ここでちょっとした秘密を明かした。尊敬していたのは高橋尚子さんだった。「アテネで金メダルをとったのも、シドニー五輪で高橋さんが金メダルをとったことが一番影響しています。あの映像を見て、自分に置き換えたんです」
しかし高橋を尊敬しているとは口にしなかった。「同じ土俵で戦っていた人。それを言ってしまうと、同じ立場に立てない、その人を超えられないと思ったからです」
「自分にお疲れさまと言ってあげたい」
自分にかける言葉として、「納得するまで走り切れてよかったね。お疲れさまと言ってあげたい。生まれ変わってもやっぱり走りたいと思ってますね。多分走っていると思います」
岩本乃蒼アナ「今後は未定ですが、何らかの形でマラソンに関わっていきたいと話しています」
杉山愛(元プロテニス選手)「会見の清々しい様子を見ても、やりきったんだなとわかりますね」
加藤「わかりますか。同じ世界の人を尊敬していると言うと超えられないんじゃないかということなんですけど」
杉山「ありますよね。錦織圭選手のコーチのマイケル・チャンさんが『フェデラーを憧れ』というのは良くないといったというのがあります。ただ、シドニーを見て自分に置き換えたというのはいいですね」