東京・赤坂のモンゴル料理店で9日(2016年4月)、店の前に置いておいた羊肉1頭分の塊が盗まれ、店主のスーホさんが犯行の模様を写した防犯カメラの映像をツイッターや店のブログで公開した。すると、ネット上に「私的な制裁に当たります」「やっていることは私刑に近い気がする」「肖像権の侵害で訴えられたら負けますよ」と書き込まれた。
被害者の店主「またやる可能性ある。犯罪者に手を貸すのか」
盗まれた羊肉は9日夕、近くの路地裏で発見されたが、店主は今も映像を公開し続けている。「泥棒はいろんなところで物をとっているんです。このまま逃がしたら、またやる可能性がありますよ。『この人じゃないかもしれない』というのはばかにしている。画像できちっと写っていて、100%疑いの余地はないでしょう。肖像権を守れというのは、僕から言わせれば犯罪者を手助けすること」
スタジオの反応はどうか。高木美保(タレント)は「司法が判断すれば映像公開になるのでしょうが、個人的な公開は私刑になってしまう。法律があるから世の中の秩序が守られている。個人的にやったら秩序が乱れてしまいますよ」
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「犯人が同じことを繰り返すのを防ぐというなら、私的制裁に当たる。それを罰する法律はないが、憲法31条に『何人も、法律の定める手続きに寄らなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない』という大原則があります。これはやはり認められない」
専門家「今回のケースで肖像権侵害はグレー」
肖像権に詳しい専門家の意見はどうか。落合洋司弁護士は「肖像権の侵害になる可能性がありますね。肖像権は公共の利益にどうしても必要がある場合は侵害を問われないケースもありますが、今回の場合は正当な必要があるのかどうか、グレーです」という。
公開したから問題なのだろうか。公開しなくても、駅頭や街頭の防犯カメラの撮影そのものが肖像権の侵害じゃないという視点は、コメンテーターたちにはなかった。