千葉・市川市で今月(2016年4月)に開園予定だった保育園が、近隣住民の反対で断念することになった。「子どもの声がうるさくなる」などが反対の主な理由だが、子育てしながら働く女性が増え、待機児童が大きな問題になっているときに、もう少し知恵のある解決法はなかったのか。
市川市の待機児童数は昨年4月1日で373人(厚労省調べ)で、全国で9番目に多い。開園の予定だった保育園は市が計画する8保育園のなかで定員108人と最も大きかった。
建設決めてから住民説明
「音楽鳴らして、ハイハイハイと毎日やられたらと考えただけでやめてくれと。静かに暮らしたいですよ」と高齢の住民は話す。保育園予定地の前の道路の狭さも問題になった。「道幅が狭くて危ない。それが一番」「108人の子どもが朝晩バーッと出入りされたら通れませんよ」という。
建設側が事前説明をしなかったことも反発を買った。「施設を造るのに事前に地元に全然説明がなくて、いきなり建築の看板ですよ」「看板をポーンと立てただけですから、とんでもないと思いますね。こんな住宅地のド真ん中に」
市川市の子ども施設計画課の小西啓仁課長は、「説明の内容自体は何か問題があるということではないと感じています。同じ言葉でも取る人の解釈によってバラバラ。誤解というか理解されなかったのかなと思う」と話す。
要領を得ない説明だが、取材した岡安弥生リポーターによると、市側は「騒音に対しては防護壁を作る」「駐車場や駐輪場のスペースを作る」「道幅が狭い点は毎朝交通整理をする」などの対策を提示したが、はじめにボタンを掛け違った行き違いは容易に埋まらなかった。一方的に建設を決めてしまってからでは、あれこれ対策を提示しても住民を説得するのは難しいだろう。