千葉・市川市で4月(2016年)に開園を予定していた私立保育園が、近隣住民の反対で断念した。「子供の声がうるさい」「交通が危険だ」などが反対の理由だが、住民への説明より先に園児募集をかけるなど手続き上の問題もあったようで、待機児童が問題になるなかで論議を呼びそうだ。
「待機児童」全国ワースト9位の千葉・市川市
開園を予定していたのは社会福祉法人「成未会」(松戸市)で、0~5歳児を対象に定員108人の保育園を市川市菅野の住宅地にある空き地に建設予定だった。昨年3月に建設を市に申請し、市の承認を経て8月に予定地に看板を設置した。直後に近隣住民から市に反対の申し入れがあった。
市の担当者によると、「静かに暮らす権利がある。保育園をつくるのはいいが、ここは困ると」ということだった。その後、10月から説明会を3回開いたが、「端から『白紙撤回』一本で、話にならなかった」という。
市川市の待機児童は373人で、全国のワースト9位。市としては108人に期待していたのだが話は進まず、1月には住民から反対署名が提出された。運営者はこの3月に開園を断念した。現地はいまも更地のまま、「保育園建設予定地」という看板が立っている。
阿部祐二リポーターが反対住民の声を聞いた。ある住民はインターホンで「園児の声は大変。環境破壊だ」という。「狭い道路で交通も多く危険だ」という意見もあった。さらに聞くと、この住宅地は高齢者が多く、待機児童数は少ない。つまり、「よそのガキなんか」という感情があることもわかった。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト