東京など大都市から地方へ移住する希望者が急増している。「ふるさと回帰支援センター」の調べでは、2008年2475件だったのが15年には2万1584件と約9倍にのぼっている。
東京・有楽町で先週9日(2016年4月)に開かれた「地方移住説明会」には、20代夫婦から80代の高齢者まで幅広い世代の人たちが詰めかけた。「定年を迎えたら海のそばで住みたい」(東京在住の50代女性)、「山が見えるところに住みたい」(東京在住の親子)といった人たちだ。
どんな田舎が人気なのか。「田舎暮らし人気ランキング(2015年)」によると、首都圏からのアクセスが良いという理由で1位は長野、2位は山梨県だ。3位は人気急上昇の島根県だった。
どこに行くにもクルマ・・・バカにならない維持費やガソリン代
島根県が人気になっているのは、人口減少に対応して1992年に全国初の移住者支援組織を立ち上げ、子育て支援などを充実させたことが背景になっている。どれほど暮らし良いか。東京から島根・奥出雲町に移住した若夫婦は、東京では生活費が月31万4000円ほどかかったが、奥出雲町では12万9000円ですむ。大きいのは家賃で、東京では月11万円だったが、奥出雲町では3万5000円である。「まるで東京の駐車料金レベルですね」(菅野朋子弁護士)と驚くほど安い。
ただ、暮らしてみて気付いた点もあった。公共交通機関が発達していないため車は絶対に必要で、ガソリン代を除いた維持費だけで年間3万7000円。さらに暖房費は11月~翌年5月まで月2万円かかる。
田舎暮らしはこんなオマケもついてくる。夫が近所の住民との飲み会に参加したところ、「よからがひゃてごせいあい」と言われ、意味不明のまま「はい」と相槌を打ったら消防団に入らされた。意味は「良ければ入りなさい」で、週5日の猛訓練を経て今では立派な消防団員という。でも、むしろこれは楽しい事でもあるだろう。