「あなたを入れるために努力しているから見返りをくれるよね」
トヨタグループの創業家一族のグループ元幹部が、入社させる見返りに男女の関係を強要したとして、女子大生から慰謝料550万円を求める訴訟を起こされた。「モーニングショー」は当事者2人に取材し、LINEでのやり取りの記録などを入手して伝えた。
就活中の女子大生に「僕との関係が持てない以上、会社に入れるわけにはいかない」
男性は愛知県安城市にあるトヨタ自動車系の大手部品メーカー「アイシン・エイ・ダブリュ」の元幹部で、トヨタグループ創業者一族の一人だ。訴状などによると、女性が就活中の昨年(2015年)7月末、アルバイト先の飲食店で知り合いの紹介で男性に会った。女性は「第一印象はすごく感じがよくて紳士な方だなと思った」という。
アイシンAWが第一志望だった女性が翌日(8月1日)にあった1次試験を突破すると、元幹部は再びアルバイト先にやってきてこう言い出した。「筆記試験通ったね。ちょっと合格ラインに到達していなかったが、僕の一言で受からせたよ。次、面接だね。詳しいことを話したいので食事に行きませんか」
女性も「この時点ではまだ悪い男と思っていなかった」ので食事に付き合った。元幹部はその食事の席でズバリ男女の関係を求めてきた。女性によると、「僕がこれだけあなたを入れるために努力しているから、その見返りを僕にくれるよね。一緒に食事に行ってそういう関係になれる女性が欲しいから。友達とかを紹介してくれてもいいんだけどと言われました」という。
要求を断ると、こんなメッセージを送りつけてきた。「あなたの意見は分かりました。僕との関係が持てない以上、僕もあなたを会社に入れることはできませんので諦めてください。私から人事に断りを入れておきます」
女性は動揺する。「アイシンAWに入るためには、○○さんと一度男女の関係をもてばいいということですか」とLINEを返信した。すると、「あなたを僕の縁者として会社に入れるのに、何の保証もないから二人だけの秘密を確実なものにするためです」と言ってきた。
嫌なら女性も元幹部と連絡を断てばいいものを、「私自身も就職という人生の大きな節目でもあるので、きょうこういうお話を頂いて悩みました。私が一つお聞きしたいのは、今回関係を持ったとしたら、必ず100%入社させて頂けるのでしょうか。男女関係を持つ以外の方法、たとえばモノで見返りという形にはなりますでしょうか」なんて言い出す。
元幹部からは「モノ?(笑) そういうのはいらないよ。ただね、僕も関係を持った人とそうでない人とでは責任感が違ってくるよね」。結局、最終面接直前に「残念ですが、うちの会社の内定は絶対にさせない。どこか他を当たってください。あなたレベルでは入社は無理なんです」と捨て台詞があって、後日、会社から電話で女性に「不採用」の連絡が届いたという。
ただ、このあと女性の父親宛てに差出人不明の手紙が届いた。そこには「女性は以前から援助交際で稼いでいます。私も肉体関係を持ちました」とあった。女性によると「最終面接の直前に男性から両親の名前と住所を聞いてきたために教えました。タイミングから男性の報復だと思います。これで訴えることにしました」