神宮外苑に建設される新国立競技場をめぐってまたトラブルが起きた。東京五輪・パラリンピック組織委員会が突然、神宮球場を2020年5月1日から11月30日までの7か月間の使用中止を言い出したのだ。
神宮球場はプリ野球のヤクルトスワローズの本拠地だし、六大学野球の聖地である。唐突な使用中止の打診にヤクルトや六大学野球の関係者は「寝耳に水で非常に困惑している」と憤る。
遠藤利明・五輪担当相は「こういう交渉はこれからも数多く出てくるものだと承知している。なんでこれが大ごとの議論になるのかなという思いです」と、オリンピックのためなんだから文句言うなといわんばかりである。
協力しないと非国民?
中谷隆宏リポーターによると、新国立競技場の建設を中心とした神宮外苑の再開発計画では球場の使用中止は計画になかったという。隣接する秩父宮ラクビー場を取り壊し、オリンピック・パラリンピック開催中は駐車場に当てる。終了後に駐車場跡地に新神宮球場を建設し、秩父宮ラクビー場を神宮球場の跡地に建設することになっている。
なぜ使用中止の打診となったのか。東京五輪招致に関わった鈴木知幸・日本スポーツ法学会理事は経緯をこうに話す。「(使用中止の打診について)組織委も前から想定はしていました。この地域は、開会式や陸上競技をやるさまざまな機能を設置する場所が少ないんです。神宮球場側にお願いする時期をどうするかという問題だった」
他人の迷惑は一切お構いなしというわけか。浜田敬子(前「AERA」編集長)は「すべて後出しジャンケンですね」と呆れる。
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)「ひどい話ですよ。オリンピックとなれば国民は犠牲を甘んじ受け協力するものだと勝手に思っているのではないでしょうか。協力しないと非国民だと思っているとすれば大間違い」
五輪利権がまかり通ろうとしている。政府や関係者は、いまだにかなりの都民が五輪歓迎せずと考えていることを承知しているのだろうか。