埼玉・朝霞市の女子中学生誘拐事件で逮捕された寺内樺風容疑者(23)は、「失踪マニュアル本」を参考に少女にメモを書かせ、また友人には「彼女がいる」などと話していたことがわかった。寺内は1日(2016年4月)、未成年者誘拐容疑で送検されたが、警察は引き続き監禁容疑で調べを続けている。
「中学生の頃から女の子を誘拐したいという願望があった」
女子中学生(15)は誘拐された後に家に届けられたメモについて、「失踪のマニュアル本を見せられて書いた」と話しているという。「家も学校も休みたい」「しばらく友達の家」「さがさないで」などのメモはいずれも自筆で、自分から家を出たといいう体裁だったが、これには下敷きがあったわけだ。
マニュアル本は複数ある。他にネットで「失踪」を検索すると、「失踪する方法」を教えるサイトがいくつかあった。どれも今の環境や人間関係を離れて、生活をリセットしたい人のためのもので、失踪の時に残す文章の書き方も載っている。自分の意思であること、名前・日付、直筆で書くなどとある。
寺内は調べに、「中学生の頃から女の子を誘拐したいという願望があった」と話しているという。誘拐やその後の監禁手順などは入念だが、肝心の誘拐対象については行き当たりばったりだった。朝霞市を選んだのは、ネットの地図アプリで探し、「田舎すぎず都会すぎず、いいと思った」という理由だった。この少女を選んだのも、たまたま下校途中を見かけただけ。後をつけ、玄関先にあった傘の名前を見て誘拐時にフルネームを口にした。
誘拐後も少女に「お前は捨てられた」と繰り返した。本名とは別の名前で呼び、連れて外出することもあったが、少女は「怖くて声が出せなかった」と話している。
猟奇小説の世界が現実に・・・
司会の加藤浩次「中学生の頃から誘拐願望があった。相当に用意周到ですね」
コメンテーターの高橋真麻(フリーアナウンサー)「少女の気持ちを考えると、事件の内容を知りたくないですよ。本当に嫌な事件だと思う」
手嶋龍一(外交ジャーナリスト)「なぜ逃げなかったかが言われますが、監禁された人たちはなんとかその中で適応しようという心理が働くんですね。外界と遮断されると起こりうる」
山本由樹(出版編集者)「失踪マニュアルは、自殺を選ぶより失踪の方がいいという選択から生まれたんですね。こういう悪用までは考えてなかったと思います。娘が中1なので、少女の宝物のような2年間を失わせたことにものすごい怒りを感じます」
かつては猟奇小説にしか登場しない類のものだったが、現実になった。引き金はなんだったのか。