「生きて帰らない登山家はゴミだ」
深町はあるとき羽生に、「マロリーは死の直前、エヴェレストの山頂まで行ったのでしょうか」と尋ねる。「死んだ人間なんてゴミだ。生きて帰らなかった奴が頂上を踏んだかどうかなんて、どうでもいい」と羽生はまるで関心がないようだった。では、あのマロリーのものと思われるカメラを奪ったのはなぜなのか。
羽生と深町は2人でエヴェレスト登頂に挑むことになった。標高5000メートルにたどり着くと、羽生は「ここからはオレたちは無関係だ」とひとりで山頂を目指す。だが、深町が窮地に陥ると羽生は助けに戻るのだ。死んだらゴミだというのは、だから死ぬな、だから死なせないということだったのだ。
深町「マロリーは『(山に登るのは)そこに山があるからだ』と言いましたが、あなたはなぜ登るのですか」
羽生「オレは違うな。俺が今ここにいるからだ」
悪天候のため深町は羽生を見失ってしまう。果たして羽生はどうなったのか。羽生が残したメモにはこうあった。「足で登れなくなれば手で登れ。手で登れなくなったら指で登れ。指で登れなくなったら歯で登れ。歯がダメになったら目で登れ。すべてダメになったら、想いで登れ」
羽生の気迫に深町は圧倒される。そして、驚愕のラストが控えているのだった。
オススメ度☆☆
佐竹大心